第7話 鶏肉パニック

ミッチーが串刺し終わった瞬間、急に顔色悪くなって、「あ……、おにぎりがまだ残ってた……」 って小声で呟いて、ダッシュでトイレに消えた。

おいおい、またかよ! さっき「全部出た」って言ってたじゃねーか! 残便感って怖ぇ!で、残されたのは……

串が刺さった生鶏一羽と、俺。

完全に二人きり。おじさんと増尾は「火起こし行ってくる!」って逃げやがった!

逃げんな! 主犯はお前らだろ!鶏が……、俺を見てる(気がする)。

冷蔵庫から出したばっかで、表面に水滴ついてて、なんか泣いてるみたいに見える……。

やめてくれ、そんな目で見るなよ……俺だってやりたくねえんだよ……!


「宅間! 塩コショウしっかり揉み込め! 腹の中にも忘れんなよ!」っておじさんの遠くからの声。

腹の中!? マジで手突っ込むのかよ!?震える手で鶏の腹の穴に指突っ込んでみた。

……ぬるっとした感触。

うわああああああああああ!!!

俺の精神が限界突破した!!「うおおおおおおお!!」って叫びながら塩コショウガシャガシャ振りまくって、

「もう知らねえ! 味濃けりゃいいんだろ!?」って全身に塩振って、

最後に「ごめんな鶏さん……お前は今日から俺らの晩飯だ……」って頭下げて逃げた。


戻ってきたミッチーが、

「宅間くん……鶏、塩まみれになってる……」

ってポカンとしてる。

お前がトイレ行ったせいだろーーーー!!!

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