処刑されるはずだった公爵令嬢、冷酷皇帝の娘でした。〜原作未回収設定を知る私が、運命を書き換えます!〜

@tuzuriyaruri

〜第1章〜(第1部)

第1話「目覚め」(第1部・始)

「キリア・グレンツェン・フンクルン。

お前を王太子毒殺の罪で死刑に処す。罪人は、絞首刑台に登るように」


罪人として呼ばれた自分の名が、頭の中で何度も反響した。


諦めていた。

何もかも。


ただ――

それでも、死にたくはなかった。


どうして、こんなことになってしまったのだろう。

冷たい床を見つめながら、答えのない問いだけが胸を満たす。


涙は落ちなかった。

私は静かに縄へと首を差し出す。


次の瞬間、足元が消えた。


息が詰まり、視界が遠のく。

深い、深い海へ沈んでいくような感覚。


そして――


*****


「……はっ」


鋭く息を吸い込み、私は跳ね起きた。


視界に映ったのは、見慣れた天井。

処刑台でも、曇天の空でもない。


「……私、死んだはずよね」


毒殺の罪で。

絞首刑に処されて。


全身は滝のような汗に濡れ、呼吸だけが荒い。


死んだはずの私が、どうしてここにいるのか。

これは夢?

それとも、走馬灯?


――あるいは。


「……死後の世界?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2025年12月31日 06:00
2026年1月5日 06:00
2026年1月15日 06:00

処刑されるはずだった公爵令嬢、冷酷皇帝の娘でした。〜原作未回収設定を知る私が、運命を書き換えます!〜 @tuzuriyaruri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ