第5話


  自分、は気が付いたら、こういう自分という唯一無二で空前絶後のある精神と肉体の複合体で、終生、他の実存にはなりえない。

 それが人間の運命。 

 時間や空間も、言うなれば一種の呪縛。

 離脱はできない。 あらゆる一回性で、スペアのきかないものばかり、それが人間存在を成り立たせているどうしようもない条件のすべて。


 それを、不幸なの身の上の場合は「不条理」と言って、アンネフランクやフランツカフカは、そのために人類の歴史に残る文学を遺した。

 人間は不自由で不条理な条件ばかりに制限されながら生きていかざるを得ず、しかし、そこに尊厳もある。

 単なるシミュレーションゲームは茶番で、リセット可能なら、人生にドラマも生じない。 厳粛な綱渡りだからこそ、そこには美しさもある。

 闇がなければ光もない。

 チャップリンが愛されたというのは、人間の尊さと言うのは何か?を問い続けていたから…彼はアンチヒューマンなものを憎み、それをパロディ化して掣肘した。「モダンタイムス」しかり、「独裁者」しかり。

 「キッズ」の、深いペーソス、優しさ。 「武器としての笑い」、それはそれとの裏腹な批判精神なのだ。

 サルトルも、「実存主義はヒューマニズムである」と言った。

 焼け野原になった世界で、たった一人になって凝っと自分を見つめなおす…何が正しくて、どこがおかしいのか? それは一から裸の自分を見つめなおすという、人間的なconscienceの発露だったのだ。


 「今の自分がこうなってしまった」ということはどうしようもない。

 それが「歴史的な存在」ということの意味かもしれない。

 今後どうなるかについても、レッセフューレ、しょせん成り行き任せで、予定調和はおとぎ話の中にしか存在しない。

 

 ポーカーだけに限らず、ヒトは「手持ちのカードで勝負するしかない」。 運やらキセキというのもありうる。

 「化ける」ということもあり、「不慮の事故」も無数に起きるのが現実です。

 まじめに精進努力、𠮟咤勉励、焦らず腐らずに頑張っていこうと思います。

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