第16話

猫たちは缶詰の食事を終えると、再び丸くなって寝息を立て始めた。ふうはソファの端で丸まり、まつとふさはラグの上で互いに寄り添うように眠る。夜の部屋には、静かな呼吸と小さな寝息だけが響いていた。


七華と風凜は、猫たちをそっと眺めながら椅子に腰掛ける。残った紅茶のカップが白い。


「風凜」と七華が口を開いた。「今はネットの中でバンドやってるけど、いつか本当に自分たちのバンド組みたいなって思わない?」


風凜は微笑みながらうなずく。「リアルの世界で。中学か高校でバンドデビューできたらいいな」


七華は少し遠くを見つめるようにして言った。「ネットで活動してると、便利だし面白いけど、やっぱり生のステージ、観客の前で演奏したい」


風凜も同じ気持ちを共有するように、柔らかく頷く。


二人は、猫たちの寝顔を見ながら、未来の夢を語り合った。具体的な日程や曲目のことではなく、ただ「いつかこうなりたい」という希望の話。


「私たちの未来かあ」七華。


「近未来にはきっと……」  風凜。


猫たちの寝息と、二人の小さな声が、夜の部屋とともにあるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る