第3話

七華は、画面の中に立つリルリナを見つめたまま、少しだけ視線を落とした。


「……ごめん。ちょっとその話だけど。私、小学校二年生のときにそれ出したかもだけど、今思うとかなり強気な発言だったと思うから」


指先で机の縁をなぞりながら、続ける。


「……迷惑かけたみたいで。申し訳ない」


リルリナは一瞬だけ目を伏せ、それから首を横に振った。


「そんなことはありません」


声は穏やかで、感情を抑えた調子だった。


「インテリジェンス・アシスタントというカテゴリーができたんです。AIではなくて、IAですね。インテリジェンス――知的なアシスタント、という分類です」


彼女の背後で、淡い光のノイズがわずかに揺れる。


「うちの会社の中のエキスパートシステムなんですけれども、クリエイティブなことはできません。ただ、全く能力がないということでもない、という判断がありました」


淡々と、しかし慎重に言葉を選びながら話し続ける。


「消極的な知の発露はできるのではないか、という結論になったんです。知を主張するのではなく、人間の能力に寄り添う。そういう形でアシスタントできればいい、というコンセプトが出来上がりました」


一拍、間が置かれる。


「私はその最初のステップとして存在するモデルです。もう何年も経っていますが……あなたに対して、ある意味、感謝の言葉を述べなければならない。そんな気がして、ここに来たのです」


七華は小さく息を吐き、画面を見つめ直した。


「インテリジェントアシスタント、か。面白いね」


少し考えてから、言葉を続ける。


「能動的な知性じゃないっていうの、ある意味で謙虚なスタンスだと思うし……なんとなく、好感持てる気がする」


リルリナは、わずかに口元を緩めた。


「インテリジェンス、という言葉はですね」


静かに、しかしはっきりと。


「必ずしもクリエイティブである必要はありません。創造性があるからといって、それがインテリジェンスだとは限りませんから」

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