(仮)純粋無垢な新米ハンターと古の精霊
シフルキー
第1歩 ~出逢い~
第1話 精霊の住処~出逢い~
――目の前に広がる水面は、ただの泉ではなかった。
水面を覗き込むと自身の姿が鏡のように映し出される。
先日この世界での成人を迎え、ハンターになったばかりの少女ソファは、肩にかかる程度の
大丈夫。もう腫れてないわね。――私は意を決して尋ねた。
「……ここが“精霊の住処”……?」
「違うわ」
隣のセレナが首を横に振りながら落ち着いた声を返してきた。
「ここはまだ“入り口”。奥へ進むには、導きを受けなければならないの」
――諭すような優しい声。
セレナはエルフ族のハンターで凄腕らしい…。
らしいって言うのは、私は最初彼女の事をギルドの酒場の看板娘だと思っていたから。
事情があってあまりギルドから出なかったみたいだけど、色々あってここへ一緒に来てくれている。
それもそっか…ギルドに出入りするハンターたちは皆すれ違う度に振り返ってニヤニヤしてるもんなぁ。
特に勢いよく盛り上がる双丘と夢幻的な深い谷間…私も
彼女とは別に一緒にいるのは2人。
全員がA級ハンターの“スプライトクインテット”のリーダーだったノエルと、元敵国の軍人のピエール。
だったっていうのは、彼女が率いていた“スプライトクインテット”は解散しちゃったからだ。
クインテットの名が示す通り5人組だった彼女たちは、リーダーのノエル以外の4人がそれぞれ恋仲になって、この国で暮らすことになったらしい。
ノエルは…魅力的だと思う。
燃えるような赤髪をざっくりまとめ、切れ長の瞳。自信に満ち溢れた瞳はホント頼れるお姉さんって感じ。セレナは置いといて、引き締まった体なのに出る所は出てるし、おまけに長い脚…私も
もう1人のピエールは元敵国の軍人。
軍人っていうより、物語に出てくる王子様のほうがしっくりくる。
整った顔立ちに
――理由は知ってる。
先日彼の国がこの国へ攻めてきた。
簡単に言えば彼は指揮官に反旗を翻し、先陣として率いていた2000人の兵とともにこの国へ亡命して来たんだ。祖国へ新婚の奥さんを残したまま――。
私は力を求めてここに来た。
無力だった私。
守られるだけだった私。
大切なものを失った私。
泣くしかできなかった私。
そんな私をノエルが誘ってくれた。
この国で再結成する“スプライトクインテット”の仮メンバーとして。
私は強くなりたい。
最初は皆で笑って冒険がしたかった。
ただそれだけ。
現実は違った。
ハンターになって数日で現実を知った。
戦えなきゃ失う。
力がなきゃ失う。
守るためには力がいる。
私は、力が欲しい。
そんな私を見てノエルがにやりと笑い、水面へ軽く手をかざした。
「素通りはできないのよ。
ここを開けられるのは、
精霊に縁のある者だけ。
心配することないわよ~。
ここに2人もいるんだから」
彼女の手から淡い光が広がり、水面がふるりと震えると瞬く間に波紋は輪を描き、光の縁が浮かび上がる――。
私はその光に目を奪われた。
同時に自分が呼ばれているような、不思議な感覚に包まれる。
ピエールが思わず前に出て、その光景を凝視した。
「……ここを通るのか……?」
セレナが微笑んで答える。
「そう。導きがあれば誰でも通れるわ。精霊に縁を持たない者が勝手に足を踏み入れれば――ここはただの泉よ。ずぶ濡れになるだけ」
「……なるほど、もう一度確認だが、通っていいのか?」
「しつこいなぁ。大丈夫だって!」
とノエル。
「行きましょう」
セレナが静かに告げ、一歩を踏み出す。
彼女の姿が光に包まれて溶けていくのを確認し、ピエールは意を決して足を進め、ノエルが固まったままの私の背を軽く押し、同じく私たちも光に包まれた。
――光の向こうは、異なる世界だった。
ひんやりとした冷気の中、天井や壁一面に散らばるのは、星屑を閉じ込めたかのような鉱石。
それが呼吸をするように明滅し、洞窟みたいな空間全体に輝きを放っている。
「……きれい……」
私は思わず息を呑み、足を止めた。
目の前の光景は夜空の星を閉じ込めたようで、目が離せなかった。
隣でピエールもまた、言葉を失っている。
「……ここが、精霊の……」
ノエルは大して驚いた様子もなく、口笛を吹くように軽く笑った。
「何度来ても派手だねぇ。ま、ここじゃ反応はそうなるよねぇ」
セレナも肩をすくめながら頷いている。
私とピエールが見とれていると、足元の水面がふわりと揺らめいた。
静かだった水辺が呼吸するように膨らみ、淡い光を抱えながらゆっくりと浮き上がってくる。水が重力を裏切り、柔らかな膜となって空間へ広がっていくように。
「……水が……浮いてる……?」
私は瞳を大きく見開き、無意識に後ずさった。
ピエールも剣の柄に手をかけ、息を呑む。
「ありえない……。これは――」
セレナが微笑みながら首を振る。
「驚くことじゃないわ。ここは“精霊”が支配する場所。この水は、精霊たちの目みたいなものね」
ノエルが肩を竦めて付け加える。
「要は“興味津々”ってこと。あっ!来た来た」
――――――――――――――――――
はじめまして。
これは“私の物語”
この世界について説明するね。
まず読み終わったら次に行く前に
💗を押してね。
物語から離れる前に
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フォローしてくれれば、
次の物語の通知が届きます。
皆に応援して貰えるように
私、強くなる。
次回 “精霊登場”
次の更新予定
(仮)純粋無垢な新米ハンターと古の精霊 シフルキー @re-i-ru1008
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