寺の住職が魔物倒せるわけねえダルォ!?

狐囃もやし(こばやしもやし)

第1話

こんにちは。

清く正しく生きようと思っています。

寺の住職Aです。

頭はテカテカ? 抉るぞ。

立派な三十路です。

今は寺の階段をほうきで掃いています。


「あのォォォぉ!!!!助けてくださいいいいいいいい!!!!」


木の葉っぱを愛おしそうに見つめていると、迷える信徒(???????)が走ってきました。

えらく焦っている声です。


「どうしたんです……ってええええええ!!!!????」


剣を振り回しながら、小柄な女の子が走ってきました。

……後ろにバカデカい犬を引き連れながら。


「住職さん!助けてくださぁァァああい!!!」

「ちょ、待て待て待て待て」


私の制止など聞かずに、彼女は一心不乱に走ってくる。

道中にあったものを全て破壊しながら、後ろの犬もついてきた。

私にこんなものを任せるとは、なかなかな低脳ですねェエェエエエエエエ!!!


「ホアァアアアアアアア!!喰らえェエェエエ!犬の骨えええ!!!」


愛犬の為に奮発した犬の骨(美味しいおやつ)を思いっきりバカデカい犬に投げつけると嬉しそうに一口で食べ始めた。

可愛いですね。私は犬派です。

犬は美味しいおやつにありつけ、上機嫌に尻尾を振りながら帰っていきました。


「はあ、はあ、あ、ありがとうございました!感謝してもしきれません!!一体どのような強力な武器で攻撃したのですか?!先ほどのウィードウルフの様子を見た限りでは魅了、もしくは幻影でしょうか……」

「ははは、いえいえ、私は何もしていませんよ」


何を言っているんだ。この子は?

私も昔発症していた中二病患者痛い人なのだろうか。

作り笑いをしながら彼女を見下ろす。


長く艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、フリルが重なり合った水色のワンピースを身に纏っている。

クリクリとした大きな目はまるで宝石のようだった。

はっきり言って、これは世に類を見ない美少女である。私が断言しよう。


「で、なんであなたはここに?」

「住職さんならあの化け物倒してくれると思ったから」


あなたの中の住職像は一体なんなのですか。

その後話を聞いてみると、どうやら浮浪の身らしいので、とりあえず寺に匿いました。


_________


「助けてええええええェェエェェェェェエええええエエエエ!!!!!!」

「いやなんで?」


次の日、なんか少年が魔物を連れて走ってきました。

ドラゴンです。

は?

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