お題51:**朝起きたら全身が餃子の皮になっていた。**しかも具がまだ入っていないらしい。

「え、なんか体が薄い……手足が無い…」


 朝起きたら、自分の身体が餃子の皮になっている。これを脳が理解するまで、30分もの時間を要した。


「寒っ、昨日は寝床で寝たはずなのに。いつの間にか冷蔵庫の中に入れられてるし……いや、餃子の皮としては合ってるのか」


 ツッコミどころが多すぎて、全然そこじゃないだろってところからつっこんでしまった。


「よう、皮」

「え、でかいボウルが話しかけてきた」

「違うわ! 今からお前に包まれる中身だよ!」

「ああ、ひき肉とか、白菜とかか?」

「いや、うちはキャベツ派だ」

「うん、しらんけど」


 今から本格的に餃子にされる、そんな予感がしているのに危機感が湧いてこない。


「というかにんにく入れすぎじゃないか? 冷蔵庫中匂いがきついんだけど」

「俺に言われても困るぞ! きれいに包んでくれりゃ、俺はそれでいい」

「妙なこだわりだなぁ……」


 果たして俺は、きれいに包むことができるのだろうか。というか、食われちゃうのか。え、逃げたい。超逃げたい。

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