お題17:今日から魔王になるはずだったのに、勇者が先に就職祝いを持ってきた。
初めて座る魔王の座、彼は興奮を抑えきれずにいた。ようやくこの地位を手に入れられた。
「ふむ、若君もとうとう魔王となりましたな」
「ああ」
「そんな貴方様に、どうやら客人のようです」
「誰だ?」
魔王の間に現れたのは、まさかの天敵とも言える存在だった。
「ども、勇者です」
「待てい」
幹部の予言にて、魔王の存在を脅かすと言われていた勇者だった。
「何しに来た勇者よ! まさかリスキル狙いか!?」
「いやいや、ただの就職祝いだよ。魔王誕生のお祝いさ」
「信用できるか!」
背中に見える退魔の剣におびえながらも、魔王の威厳を保とうと必死である。
「まあまあ、今後死闘を繰り広げる相方なんだし。どうぞよろしく」
「ひえっ」
勇者が笑顔でとんでもないことを告げる。魔王は血の気が引いた。
「それじゃ、今日は顔見せだけだから。じゃーなー」
「……魔王様、お気を確かに」
「あいつの方がよっぽど世界の脅威だろ……」
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