お題3:朝起きたら、体が透明になっていた。……が、お腹の肉だけは透明になってくれなかった。

 やばい。朝起きたら透明になってた。


「え、透けてね……?」


 顔を洗うため、洗面所の鏡を見て気づいた。間違いなく自分は鏡の前に立っている、なのに姿が写っていない。それだけならまだ良かった。いや良くないけど。


 問題は、全部が透明になっているわけじゃないという事。


「お腹の肉だけは透明じゃないって何なんだよ……」


 これが一番やばい。何がやばいって、絵面がやばい。


「人の肉が宙に浮いてブルンブルン動いてるの怖すぎるだろ……」


 そう、中年男性である俺のメタボリックお腹のみが動いているという、とんでもない状態になっていたのだ。下手なホラーより怖いぞこれ。


「どうすりゃいいんだよ……。とにかく、隣の研究好き博士に聞いてみるか……あの人苦手だけど」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る