敬虔なユニクロ信者

　敬虔（けいけん）なユニクロ信者（しんじゃ）の僕（ぼく）は、衣服（いふく）はもちろん身（み）につけるアイテムも全（すべ）てユニクロで買（か）い揃（そろ）えている。

　しかし今使（いまつか）ってるカバン、それもリュックの使（つか）い勝手（がって）が悪（わる）くて困（こま）っている。

　二千円未満（にせんえんみまん）で大容量（だいようりょう）だったため即買（そくが）いした。値段（ねだん）と容量（ようりょう）は気（き）に入（い）っている。

　だが作（つく）りがストⅡ（ツー）のリュウが持（も）ってるズダ袋（ぶくろ）みたいになってるので中（なか）で物（もの）が重（かさ）なり合（あ）って整頓（せいとん）ができない。ここがめちゃくちゃ不満（ふまん）なのだ。

　では他（ほか）のユニクロリュックを、と見（み）てみてもどれも今一（いまひと）つなので買（か）い替（か）えることができない。

　「諦（あきら）めてストⅡ（ツー）のリュウズダ袋（ぶくろ）リュックを使（つか）い続（つづ）けるしかないか。」

　そう思（おも）いながら過（す）ごしていたある日（ひ）、ふらっと入（はい）った無印良品（むじるしりょうひん）でとても良（よ）いリュックを見（み）つけてしまった。

　いやいや、いや、か･･･買（か）わないぞ。僕（ぼく）は敬虔（けいけん）なユニクロ信者（しんじゃ）なんだ。いつかユニクロが僕（ぼく）にぴったりなリュックを安価（あんか）で販売（はんばい）してくれるさ。ほら見（み）ろ無印良品（むじるしりょうひん）のこのリュック、四千円（よんせんえん）もするじゃないか！

　でも、でも･･･もしもこれが「【価格改定（かかくかいてい）】お求（もと）めやすい価格（かかく）になりました」の貼（は）り紙（がみ）とともに二千円（にせんえん）になったら僕（ぼく）は、きっと、買（か）ってしまう。

　僕（ぼく）はそれを期待（きたい）してしまってるんだ。この時（とき）以来（いらい）毎週（まいしゅう）無印良品（むじるしりょうひん）に立（た）ち入（い）ってるのが何（なに）よりの証拠（しょうこ）だ。事実（じじつ）として買（か）ってなくてもこんなの買（か）ったも同然（どうぜん）だ。僕（ぼく）はユニクロを裏切（うらぎ）ったんだ！

　明日僕（あしたぼく）は、何（なに）も持（も）たずにユニクロの試着室（しちゃくしつ）に入（はい）ろうと思（おも）う。そしたら店員（てんいん）さん、どうか隣（となり）の試着室（しちゃくしつ）に入（はい）って僕（ぼく）の懺悔（ざんげ）を聞（き）いてください。そして最後（さいご）に言（い）ってください。

　「神（やない ただし）はすべての罪（つみ）をお許（ゆる）しになられますよ。」って。