第2話 消えた出席番号

 翌日、クラスで奇妙なことが起きた。

 朝の出席確認で、担任の佐伯先生が首をかしげた。

「……出席番号17番、えーと……」

 先生は名簿を見つめたまま、黙り込んだ。

「最初から、空白だったかな?」

 クラスがざわつく。

 蒼は胸の奥が、ひやりと冷えるのを感じた。

 昨日まで、17番は確かに存在していた。

 名前も顔も思い出せない。

 でも「いた」という感覚だけが、はっきり残っている。

 黒板に映るクラス名簿には、17番だけが不自然に空いていた。

 まるで、最初から「そこに誰もいなかった」かのように。

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