王の道を往く 〜番外編〜

hi-pi

第1話

「メリ〜クリスマ〜ス!」

「メリクリ………」

「どうした!?」

なんか今日の渚、変………いつも若干暗いけど、今日はもっと暗い。いや、これ……違った方面で暗い感じだ。

「まじでどうした渚……」



これは、最強を目指す少女達の、スキマの物語………



「せ〜な〜〜〜 聞いてくれよ〜〜〜」

なんかいつもとは明らかに違う渚が泣きついてくる。

「いや、どしたん…」

「今年も今年とてクリボッチだよおおおぉぉぉん!俺皆を誘ったんだよ?でも皆断るのッ

オタクとは何処も行きたくないってぇえぇえぇ」

何この変貌ぶり。と、取り敢えず慰めよう。

「えと、あーっと…ドンマイ?」

「ひっどい!こんな傷心中の青年に煽りをいれるなんて!もう知らねぇ!」

そう吐き捨てると渚はガクッと気絶し、3秒ほど経って起きる。

「( ゚д゚)ハッ! 俺は何を………」

「えっと……大丈夫?さっきまでのこと覚えてる?」

「いや……覚えて…………… …………えあ……… ………あ、あうあうあ………」

渚の顔がどんどん青ざめてくる。

「その感じ、ちゃんと思い出したみたいだね。」

「あ、お、じゃな……と、つか、て」

あらら……羞恥心でまともに話せなくなってんじゃん。なんかシュールで面白いからこのまま放置でいいかな。

いや、正気に戻ったときの反応早く見たいし、メンタルケアしてあげようかな。

「ねえ、あれ、渚じゃないでしょ」

「ハッ…………………すまん、少し取り乱しちった……」

(絶対少しじゃないでしょwww)

などと内心吹きながら、渚の話を聞いてあげる。

「なんか、俺の中に俺じゃない奴が入ってきて……」

「まあ、そんな気はしてたけどね。魔力の気配が違ったっていうか、魔力が妙に少ないっていうか、そんな感じだったし」

「星奈……サンキュ」

「何もしてないよ?まあ、面白い渚が見られて私は満足だけどね」

今度は渚が赤面する。

「止めろ……思い出しただけで恥ずかしい………死にたいです」

「アハハッ取り敢えず今日も人助けしにいくよ」

「おう………」



「巨大な鳥獣ね……」

私達はいつも通り村長の家で標的(?)の説明を受けていた。

「はい。何でも、家畜を食い荒らしてて……人も食い始めてて、うちの猟師が腕を食いちぎられたみたいで……死者が出ないうちに討伐をお願いしたいんですが……」

「全然良いですよ!特徴は?」

「20メートルほどの奴で、茶色の鶏みたいな姿です。それと、体がとても固く、腕利きの戦士でも傷1つつけられなかったそうです……………」

「なんでそんなヤバいやつがいてこの村は無事なんだ………」

「こら、縁起でもないこと言わないの!」

「ま、なんとかなるだろ」

「じゃ、パパッと村、救っちゃお〜」

「おー」

渚がやる気のなさそうな声を上げる。

(渚ってノリがいいのか悪いのか時々分かんなくなるよね………)



「んじゃ、始めますか」

さっきとは一変してやる気満々の渚。

「斧出して」

「ほい、ドラグライト鉱石製の高級品だ。大事に使え」

「はいはい」

私は渚のジョークを軽くあしらい、巨大鳥獣に飛びかかる。そして、頭にどでかい一撃を入れる……けど………

「硬すぎでしょコイツ!!」

確かに村長が言ってた通りだね。硬い……なんて言葉で片付けちゃいけないくらい硬い。

私は斧を出していた渚の隣に着地する。

(シレッと私のよりいいムーンライト鉱石製の斧出してんじゃん……ズル……)

「物理はだめだな。」

「うん。あれ斬れる気がしない」

「じゃ、次は丸焼きだな」

そう言い、渚は赤くてどでかい魔法陣を展開し、火炎魔術を鳥獣にぶっ放す。火力特化の最終派生だ。炎が鳥獣を包みこむ。だが………

「これも駄目か………」

若干羽の色がうすくなっただけで、何事もなかったかのように出てくる。

「防御力強すぎんだろあのチキン野郎」

渚が鳥獣を見上げながら悪態をつく。

「はあ、しゃあねえ……キモいからやりたくないんだが……星奈、アイツの目ん玉くり抜いて脳みそを中から破壊するぞ」

「え、渚、正気?絶対キモいって!!」

「あーうるせー 俺は今ムカついてんだよ、アイツをミンチにしてやんねぇと気が済まねぇ!」

「ミンチって牛とかで作るんじゃなかったっけ……」

私のつぶやきも聞かず、“チキン野郎”の顔面に飛んでいく。そこで斧をぶん投げ、嘴にぶつける。更にドリルを召喚し、目ん玉を抉っていく。痛そ………………そして1分後、鳥獣の頭がド派手に爆ぜる。爆弾かなんかで爆発させたのだろう。

「ほ、ほんとにヤッちゃった………狂ってるでしょあんなの」

「ただいま」

シュタッと渚が私の目の前に着地する。ち、血生臭い………

「と、取り敢えず報告も兼ねてシャワー浴びに行こうか………」

「りょーかい。あースッキリした」

もうホント狂ってるよ私の旅仲間……………


因みに、この鳥獣は肉は柔らかく、美味しいらしいので、

村のみんなで食べたんだそうだ……………………ここの村民もそこそこ狂ってるね。

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