『気分は朝ドラ』⑦

荒野の高等遊民5号

第7話

第4章:北の大地、はじまりの朝

(大学生編)

Scene 1:人生初の注意


北海道の大学の農獣医学部に合格したひろ

みは島民の盛大な見送りで島を後にした。


その日の夜、大学の寮に到着し、入浴して

すぐに就寝した。

寮の部屋は、二人部屋、同室の子はひろみ

の苦手な陰キャの子だった。


「んんっ……ふぁぁ……」

ひろみは目をこすりながら、布団から起き

上がった。


「あれ?もう朝?」

隣のベッドを見ると、同室の子はすでに身

なりを整えて机に向かっていた。


「おはよう……」

「おっ、おはようございます」

相変わらず、挨拶だけ。

ひろみは少し寂しそうに笑った。


寮の食堂。朝食のパンと牛乳を手にした

ひろみに、管理人のおばちゃんが声をか

ける。


「ひろみちゃん、昨日の夜……ちょっと

いびき、すごかったわよ」

「えっ!? うそっ、まじですか!?」


「隣の子、眠れなかったみたいでね。

ちょっと気をつけてあげてね」

「は、はい……すみません……」


食堂の隅で、渉が手を振っていた。

「ひろみー、こっちこっち!」

「渉ー!おはよー!」


「いびき、すごかったって?」

「何であんたが知ってんのよー」


「もう寮中に知れ渡ってるよ」

「管理人のおばちゃんね…」


「同室の子がおばちゃんにうるさいって

言ったみたいで、おばちゃんから言われ

た……人生初の注意……」


「まぁ、元気な証拠だよ」

「そういうことにしとく……」


では、また。


挿絵イラスト付き(noteへリンク)

https://note.com/witty_gnu512/n/n2bf4a24b2607

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