COSも゜す。

ヨモギ丸

第1話 コスモ 飛来 ①

鳴賀町は特に名産品もない素朴な街である。


彼の名前は和田ジャンク。今年で13歳になる。坊主頭がトレードマークで、趣味は天体観測。


「よし、今日はここだな。」


ジャンクは、祖父に買ってもらった天体望遠鏡で空を眺める趣味を持つ。夜20時を回る辺りになると、近くの丘にやって来て天体観測を始めるのだ。将来の夢は宇宙を探求する冒険家である。


その日は、様子の違う空だった。いつもは暗い空が、今日はやけに明るくて、そしていつもより青かった。


ジャンクの視線の先にきらりと光る流星が見えた。


「うおー!ラッキー!願い事しちゃお!冒険者になれますように、冒険者になれますように、冒険者に」


ジャンクが目を閉じてそう唱えたとき、ジャンクは自分の目の前がやけに熱いことに気が付き目を開ける。


「うわっ!?なんだこれ!!」


彼の目の前には、大きな石のようなものが湯気を吹き出していた。


「え…もしかして、隕石…?いや、それにしては陥没もしてないし…。」


ジャンクがそう呟いていると、石に均等に6本の線が入り、開く。そして、中には体育座りをしている人型の何かがいた。


「えっ、な、なにこれ…。てか、何で動かないの…?」


ジャンクは怪しく思いながら近づくと、プルプルと動いていることに気が付く。


「もしかして、ハマってるのか…?」


その声に人型も首を縦に振る。


「そうは言っても、俺じゃどうにも…。小さくなれないの?」

「いや、できないっすね。」

「喋れんのかよ!」

「さっきまでできなかったっすよ。今やっとこの星の空気に慣れてきたんすよ。」

「じゃ、じゃあさ、お前は宇宙人なの?」

「とりあえず、出てからでいいっすか?」

「あ、そうだった。」


ジャンクは周りを見渡して、木の棒を見つけると、それを人型と石との間に刺しこむ。


「ちょっ、なにしっ。」

「俺もよくわかんないけど、間あければいいんだろ?」

「いや、そうっすけど、それ絶対痛いやつ」

「うおーーー!!!」

「あぎゃぎゃぎゃーーーー!!」


ジャンクは無事に(?)人型を取り出すことに成功した。


「はぁ…マジ最悪の気分っす。でも、まあ助かったっす。」

「それで、お前は宇宙人なのか?」


ジャンクはキラキラとさせた眼でそう聞く。


「うーん、自分は…」


ドーン!!!


人型が話しだそうとすると、そこに新たに石が落ちてくる。


「え!?また!?」


すると、同じように開き、中から普通に人型が出てくる。


「なんだ?先約がいたのか。まあいい。お、良いところに人間がいるじゃねぇか。おい、そこの。俺が貰うぞ。」

「も、貰うって、どういう…?」

「あの、この子は自分を助けてくれたので、なんかその貰うとかやめてもらっていいですか?」

「お前、甘すぎるだろ。何のために落ちてきたんだよ?思い出せよ。」

「え、えっと、何で落ちてきたんですっけ?」

「ずこーっ!」


ジャンクが古典的にこける。


「なんだ?その様子、記憶喪失か。」

「そ、そうみたいっすね。」

「ははっ、笑わせるぜ。お前と俺は、この星に侵略しに来たんだよ。そのためには、人間のサンプルがいる。だから、俺たちはその回収担当だ。わかったか?」

「え?自分が、人間を攫うんすか?」

「ああ、そうだ。早くしろよ。」

「いやですけど。」

「は?何言ってんだお前?」

「自分は、この子に助けてもらったので、そういうことしたくないっす。すいません、ここはどうか、お引き取りください。」

「はぁ…わかった」

「ありがとうございます。」

「お前もまとめて逝きな。」


二番目に落ちてきた人型の右腕は突如チェーンのように変化する。


「へ、変形!?かっけー!!」

「あ、危ないっす!!」


ジャンクに向いたその攻撃を、一番目の人型は体でガードする。


「自分、名前だけ憶えてて、コスモっていうっす。」

「今!?」

「自分もよくわかんないんすけど、今多分危ないんで、助けてもらっていいっすか?」

「コスモもああいうの出せないの?」

「いや、わかんないっす。」

「がんばってみてよ!」


ジャンクはコスモに「ほら、グーって。」とイメージのアドバイスをする。


「ごちゃごちゃごちゃごちゃやかましい!!!」


もう一度チェーンが飛んでくる。


「まずいよコスモ!早く!」

「グーっと、グーっと、グーーーーーーっと!!!!」


すると、突如コスモの右腕はブーメランに変化した。


「いけ!コスモ!!」

「は、はいっす!!」


コスモがわけもわからずそれを振り回すと、前方に腕を振る度にブーメランが飛んでいき、チェーンもろとも相手を吹き飛ばした。


「「うおおおお!!」」


二人は勝利に雄たけびを上げる。

すると、飛ばしたはずの二番目がチェーンで木から木に飛び移りながら、戻ってきたのだ。

まだ、戦いは終わらない。

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