ゴミ拾い猫のギロ

ヨモギ丸

第1話 ゴミ拾い猫のギロ

ガースタウンはゴミまみれ♪ガースタウンはモクモクで♪

ガースタウンでおどろうぜ♪ガースタウンにねむろうぜ♪

ガースタウンをまもろうぜ♪

ガースタウンはどうぶつのまち♪


「うるせーぞ!」


ガタンっ


ライオンのレオの叫び声で棚から工具箱が落ちる。

ここは、ガースタウン一のギャング、ボス・レオ率いる「グレープ」。


「すんません…でも。ボスの叫び声の方がうるせぇっす。」

「おい!新人三匹逝ったぞ!」

「だから、あれほど耳栓を渡せと…」


「ぬぅ…すまん。」


右腕であるジャガーのジンに指摘されて、レオは小さくなる。


そんな時、アジトであるガレージのシャッターが勢いよく開き、1番街を仕切ってるキツネのリンが慌てて入ってくる。


「や、やばいです!レオさん!」

「どうした。リン。そんなに慌てて、まずは茶でも飲め。」

「あ、ありがとです。」


「じゃねーんですよ!!」

「うわっ!ビックリした!」

「やばいって言ってるですよね!」

「そんなに慌てるってことはとんでもないことなんだろうな…そうでもなく俺を慌てさせるなんてあっちゃダメなことだぞ…。」

「ギロが出たです!」

「ん…?」

「だーかーらー!あの!ゴミ拾いのギロがでたんですよ!!」

「それを早く言え!!」

「言おうとしたですよ!!なんでお茶出すんですか!!」

「どこだ!」

「一番街です!」

「状況は!?」

「ひじょーっに!まずいです!!」

「わかった、すぐに向かわせる!戦闘部隊、出ろ!ギロだ!俺たちの宿敵ギロが出たぞー!!」


レオの号令に戦闘部隊がすでに装備を整えた状態で出てくる。


「は、はやっ」

「リンさんが来たタイミングで、用意させといたっすよ!」


こうして、一番街に「グレープ」の戦闘部隊が出向くことになった。

『ギロはどこだー!!出てこーーい!!』


まるで暴走したトラックのような乗り物に乗って、メガホンでギロのことを呼び続ける。


「うるせー!近所迷惑なんだよ!」

「そうよそうよ!猫探しならよそでやってちょうだい!」

「おい!俺たちはギャングだぞ!怖くねーのか!」

「もう慣れたわよ!」


「無視していくぞお前ら!」

『ギロはどこだー!!』


「おいらはここだよーん!」


キキーッ


音を立てて停まる。そして、戦闘部隊全員が表に出て上を向くそこには、木の枝をしっぽで掴んだ長身のネコがぶら下がっていた。


「まーた、おいらを追ってきたのー?もしかして、ファン?」

「違う!お前のような迷惑行為ばかりするやつ!退治してやると言ってるんだ!」

「できるもんならしてみなよ。そのまんまるキュートなボディでさー。」


そう言われた、戦闘部隊の副隊長であるハリネズミのドミは、顔を赤くし、丸くなる。


【針・乱射ニードル・ファイア


シュタタタタ


ドミの背中に生えたたくさんの針が四方八方に飛ぶ。


「どうだ!当たったか?」

「いえ…ギロはボロボロのフライパンで全てはじき返しましたし…ドミさんの針で車が壊れたんで、帰れなくなりました。」

「あ…。」

「あと!市民からのブーイングがとんでもないです!」


そこら中から、ゴミというゴミが投げつけられる。


「いでっ、いでっ!まずい、一時撤退だ!ギロ!今度会った時は、容赦しないからなー!」


そう言って、ドミたちは、そそくさとゴミの雨の中を走って行った。


「さーてと、ごめんね市民のみんな。おいらのせいでちょっと荒れちゃったみたい。でも、安心して全部おいらが拾うから。」



「おっけー、安定の無視ね。」


ギロは、背中に背負った大きな袋の中に、道中に広がったゴミを回収して、どっかへ消えていった。


「よし…いったか。」

「なんであのネコとは話しちゃいけないの?」

「あんな大盗賊の息子なんかと話なんかできるか。」

「ふーん…。そういうもんか。」

おいらの名前は、ギロ。巷じゃゴミ拾いのギロなんて呼ばれてる、ただの掃除屋…ゴミ拾い屋さ。ただ、まー、なんだ、色々あってギャングの奴らに目をつけられてるだけね。

左耳の傷と背中の袋がトレードマーク。高身長のイケメンお兄さんだぞ、惚れんなよ?


そんなおいらは今日も、ゴミを拾いに町に出向くってわけ。そいじゃ~な~。

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2025年12月31日 22:00

ゴミ拾い猫のギロ ヨモギ丸 @yomogu_bekarazu

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