第二章

第二章 ファイヤー サーバルたん


「でもさーミズ マーベルって 火炎草なんにつかうわけ?」

「燃え上がるような恋を貴女に!」

「え?」

 雑誌の広告よ

 火炎草の 正体!

 ちっちっちっ

 レイチェルが 指をふりながら名調子

「そっと懐に忍ばせて……貴女の 彼に 1滴いかが?」

 このマセガキ!

 レイチェルの脇を つついた

「なぁにー?それくらい基本でしょ?ねーラク?もしかしたら ミズ マーベル お気に入りかもよー!ラクが」

「ええーっ!」

「そんなの頼めるの 口がかたそうな お気に入りじゃない?」

「出たな ミズ マーベル!」

「いーやーーー!」

 べべにまで からかわれて 私が呻く

「気に入られたくないーっ」

「でもさ……ファイヤーサーバルのいる山におっぽりだす?」

 ガサガサ……

 しげみが ゆれる

「?」

 ピョコ?

 ちっちゃいうぶ毛の 子猫?耳が長い

 がう……

「いやーちまーい!かわいい!」

 ダッシュ……私は抱き上げようとした

「バカ……だめ!ラク!」

 レイチェルの悲鳴にも似た声

 私の指が触れるか触れないかの 近距離で いきなり火球!

「なう!?」

 私がのけぞった!

「バカ!甘く見すぎ!ファイヤーサーバルよ!」

「まて!こんなちまいのが!」

「そう!」

 たし……

 ちっちゃい足を

 踏ん張って 火炎を放つ

 ポン!ポン

「ん?」

 なんだか必死そうだ?

 私はそっと 茂みを見た

「あ……」

 そこには罠にかかった 親サーバル!

 守りたいんだ!

「ちょちょっと!」

 茂みに 突っ込んで行く私

 その お尻に ミニ サーバルが 噛み付いた

「大丈夫!逃がすからね」

 ぷるぷる……震えてる

 親サーバルの 足の 罠を外す

 しゅ……

 親サーバルが 威嚇を 始めた

 足の傷を癒してやろうと手をのばせば

 顔をスレスレに 猛火が かける!

 私は頬を焦がされた

「ほら……大丈夫!ね!」

 そっと 頭を撫でてやる

「あ……」

 親サーバルが ペロリと 私の 手を舐めた

 そして

 ミニサーバルが ナーナーと 懐いてくる

「驚いた!懐かせちゃった!」

 べべが 目を丸くする

 ナーゴ

 親サーバルが 火炎草まで 道案内してくれた

「ラク……あんたね」

 クルクル ミニサーバルが 喉を鳴らす

 そして トンと 地をけると 私の肩に乗った

「なぁに?おまえ?くるの?」

 親サーバルに お礼を言って

 採集して帰ろうとすると ミニサーバルが ぺろぺろと 私を舐める

 そして 離れようとしない

 親サーバルは ピンと 尾を立て

 見おくっている

「ナーナー」

 ミニサーバルがなくと

「ニャーゴ」

 返事が聞こえ 親サーバルは 薮に消えた

「もう罠にかかっちゃだめよー」

 そういう私にレイチェルが

「その子!マスコットキャラね!」

と 微笑む

「名前付けたげなよ!」

 べべが 指を出した

「にゃー」

 ミニサーバルが ててっと べべの 肩を渡り 上機嫌で 渡り歩いている

「クルクル」

 喉を鳴らすと

 レイチェルの 肩に移ってちょいと小首を 傾げ ナーと鳴いた

「サーバル!」

 私が言うと

「まんまじゃない!」

 とレイチェル

「ナーナー」

 ふふ……でも まんざらじゃなさそうよ!

 べべが 言う

「いいか……じゃあ……サーバル!よろしく!」

 にゃん

 サーバルは クルクルと 喉を鳴らして

  よじよじと 私にもどってきて ポンと 頭に乗っかった

「やだ!似合ってる!」

「いーでしょー!」

「高等科 野獣使い!ここに爆誕?」

 レイチェルが 笑う

「なーん」

 上機嫌な サーバルは 声高にないた

 

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