《祝!12000PV達成!!》《一章完結済み!!》悪魔とやり直す最弱スキル持ち。十五歳に戻った俺は契約した悪魔の力で人間の頂点を狙う
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なべぞう
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男が教会の扉へ向かおうとした、その瞬間だった。
――ギィ。
軋んだ音が、背後から確かに聞こえた。
あり得ない。
男は反射的に振り返る。
思考より先に、長年の修羅場で鍛えた本能が体を動かしていた。
そこに立っていたのは――確かに、さきほど自分が殺したはずの少年だった。
少年はふらつき幽鬼のようにながらも己の足で立っていた。顔は俯いていて見えない。
だが、胸元に突き立てたはずのナイフの傷は、まるで最初から存在しなかったかのように塞がっている。
「……馬鹿な」
思わず声が漏れた。
確実に心臓を貫いた感触があった。刃が肉を割き、骨に当たり、血が噴き出す感触――あれは錯覚ではない。
(ハイポーション……? いや、あの傷だ。普通の回復薬でどうにかなるレベルじゃない)
一瞬のうちに、いくつもの可能性が頭を駆け巡る。
未知のアイテム。秘匿された高位魔法。あるいは、噂に聞く禁忌のスキルか。
――だが。
男は、その思考を途中で切り捨てた。
(考えるな。戦闘に不要だ)
生き残ってきた理由は、常にそこにあった。
敵が立っている以上、やることは一つ。倒す。それだけだ。
男の目から、感情が消える。
怒りも驚愕も、恐怖ですら存在しない。
ただ冷え切った判断だけが残った。
「……立てるなら、もう一度殺すまでだ」
低く呟き、地を蹴る。
身体能力強化スキルを最大まで引き上げ、筋肉が軋むのも構わず加速する。空気が爆ぜ、床石が砕けた。
(雷魔法――あれだけは警戒しろ)
最短距離。最速。最大威力。
かつて表のシーカーとして名を馳せていた頃、数え切れない敵を屠ってきた必殺の一撃。回避不能の踏み込みから、相手の急所を粉砕する突進打撃。
これを受けて立っていた者はいない。
男は拳を固め、全身の力を一点に集約する。
視界の中心に、操り人形のように立つ少年の姿を捉えた。
(今度こそ、終わりだ)
次の瞬間、男の身体は矢のように放たれた。
教会の空気が裂け、風圧が唸りを上げる。
だが――
「……パシュッ」
乾いた破裂音にもならない、拍子抜けするほど軽い音が、教会の中に響いた。
男の拳は、確かに止まっていた。
少年は俯いたまま、ただ一本、指先を添えるようにして、その拳を受け止めていた。
「……は?」
理解が追いつかない。
止めた? いや、受けた?
違う
“抑え込まれている”
男は歯を食いしばり、腕に力を込める。
筋肉が軋み、身体能力強化のスキルが全開で唸りを上げる。
それでも拳は、指先一つ分たりとも前に進まなかった。
(動かない……?)
その事実を認識した瞬間、背中に冷たい汗が噴き出した。
先ほどまで追い詰め、殺したと確信した相手とは、まるで別物だ。
ゆっくりと、少年が顔を上げる。
その目を見た瞬間、男の思考が凍りついた。
怒りはない。
憎しみもない。
恐怖も、焦りも、殺意すらも――ない。
そこにあったのは、ただの“無”。
人を見る目ではなかった。
敵を見る目でもない。
ましてや命を奪う者の目でもない。
例えるなら――
世界を俯瞰する、意思のない観測者のような視線。
「……っ」
喉がひくりと鳴る。
男の本能が、理屈を超えて警鐘を鳴らしていた。
――こいつは、もう“さっきまでのガキ”じゃない。
背筋を走る悪寒に逆らうように、彼は即座に距離を取ろうと地を蹴った。
心臓の鼓動が異様なほど早い。
これまで数え切れない修羅場を潜ってきた自分が、こんな反応をするなどあり得ないはずだった。
視線だけは決して逸らさない。
逸らした瞬間に、終わる。
そう確信して、目を見開いたまま少年を捉え続けようとした――はずだった。
いない。
瞬き一つ分の時間もなかった。
足音も、風を切る音も、衣擦れすら感じない。
まるで最初からそこに存在していなかったかのように、少年の姿が消えていた。
背中に冷たい汗が噴き出る。
どこだ、と首を振ろうとした瞬間、直感が悲鳴を上げた。
近い。
そう認識した刹那、腹部に凄まじい衝撃が叩き込まれた。
「がっ……!」
息が一気に肺から押し出され、視界が歪む。
内臓が裏返るような感覚に、男の体は自分の意思とは無関係に前へ折れ、両膝が石床に叩きつけられた。
――刺された?
一瞬そう思った。
刃物を深く突き立てられたかのような、鋭く、重く、致命的な痛み。
だが、違う。
長年の戦闘経験が、その正体を即座に否定した。これは刃ではない。魔法でもない。
拳だ。
しかも、ただの殴打ではない。
逃げ場を一切与えず、内部から破壊する一撃。
鍛え上げた肉体とスキルで殴り合ってきた男だからこそ分かる
――これは、“完成されたパンチ”だ。
「……クソ、なんだ……これは……」
胃液が喉元までせり上がり、呻き声が漏れる。
視線を上げようとするが、首が重い。体が言うことを聞かない。
その視界の端に、いつの間にか立っていた少年の足先が映る。
ゆらり、と影が落ちる。
先ほどまで血塗れで、今にも死にそうだった少年の面影は、そこにはなかった。
立ち姿は静かで、構えすらない。
だが、その存在そのものが、男の本能に警鐘を鳴らし続けていた。
――まずい。
遅すぎる判断だったが、確信だけはあった。
これはもう、力の大小やスキルの問題じゃない。
目の前にいるのは、“触れてはいけない何か”だ。
男は地面に縫い止められたかのように動けない。
身体はまだ生きているのに、命令が一切届かない。
指一本、視線一つすら思うようにならない。
「た、頼む……」
喉を絞り出すように声が漏れる。
「悪かった……全部俺が悪い。もう二度としない……自首する、だから……」
必死の懇願だった。
これまで多くの人を脅し、屈服させてきた自分が、命乞いをしている。
その事実が何よりも恐ろしかった。
だが、少年は何も答えなかった。
見下ろすその視線には、怒りも、憎しみも、勝者の高揚すらない。
ただ、静かで、冷たい“無”だけがあった。
それが男の心をじわじわと削っていく。
少年はゆっくりと、初めて明確に拳を構えた。
――その瞬間だった。
空気が変わった。
圧力
それは物理的なものではなく、存在そのものが押し潰してくるような感覚だった。
呼吸が浅くなり、心臓が悲鳴を上げる。
逃げたい
離れたい
生きたい
感情が雪崩のように押し寄せ、男の理性を粉砕していく。
少年の額に、淡く、しかしはっきりとした模様が浮かび上がっていくのが見えた。
意味は分からない。だが本能が叫んでいた。
――こいつに手を出すべきではなかった。こいつは人の形をした悪魔だ。
少年は小さく、しかし確かな声で言った。
『去ね』
次の瞬間、拳が放たれた。
音が遅れてやってきた。
衝撃は一瞬で、男の意識がそれを理解するよりも早く、身体が宙を舞う。
視界が反転し、背中に激痛が走る。
教会の壁が砕け、夜気が一気に流れ込んだ。
さらに叩きつけられた先、大木に激突したところで、ようやく勢いが止まる。
男が最後に見えたのは、崩れた教会の向こうに立つ小さな人影だった。
そこで男の意識は、完全に闇へと沈んだ。
主人公は少年の方で、男は敵です。
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