テリオンスクール!

流暗

第1話 机の上の落書き

 あーもー、またか……。よく飽きないなあ。


 南のでっかい窓から差しこむ白い光。

 人間の学校と変わらない、質素な箱型の教室。

 三者三様の机と椅子が規則正しく並べてあって、その一番後ろが私の席。


 扉を曲がってすぐだから、誰でも目に入ると思う。


 ──私の机の落書きが。


 『バカ』とか『やめろ』とか安直で他愛ないものから、一番ヒドいのは『悪行種族』かな?


 私は私なりに清く正しく生きてきたつもりだし!

 こんなことを書かれる筋合いはなーい!

 ……なーんて。思っても口にはしないんだけどさ。


 私がぐるりと教室を見回すと、ニヤニヤ悪い笑みを浮かべた男子と目が合った。


 頭の上にピンととがった三角の耳。

 鋭いつり目とか短いカタめの髪の毛だとか、全体的にしゅっとしている。

 抱きつき甲斐のありそうな尾をゆらゆら揺らして楽しそうだ。


 やーっぱりアイツか。


 私はこうなった経緯を思い返して小さくため息をついた。

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2026年1月25日 20:07
2026年2月22日 20:07

テリオンスクール! 流暗 @ruan_hanaumi

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