第2話 魔物退治

 クリスタが、2人の少女を拾って2年の月日が経ち、2人の少女はもう18歳になり、立派な大人となった。


 2人の成長は凄まじく、クリスタが4年で計画していた修行を2年で終えることが出来た。


 クリスタは、〈フローズンサンデー〉の盟主を降り、更なる修行の一環で、3人で人々を救う旅に出ることにした。


 そして、のために、湖の街〈ピスティカロス〉を目指していた。



 「クリスタさん、この森やけに騒がしくないかー?」


 スノウは、〈ピスティカロス〉に向かう道中に、森に何やら不穏な雰囲気が漂っていることを検知した。


「確かに、この先から魔族の雰囲気を感じます」


 レイカも魔族の雰囲気を感じ取っていた。

 もちろん、クリスタも感じ取ってはいたが、2人を試すため、あえて言うことはしなかった。


「良く気付いたねぇ、この魔力は『ガーディアンシャドー』っぽいかねぇ」


 ガーディアンシャドーとは、魔族が人間界を襲うときに、魔族の偵察用に作られた、ロボット型の魔物である。

 討伐難易度は、そこまで高くはない。

 この、ガーディアンシャドーを見つけることは、魔族からの侵攻を事前に防ぐために必要である。


「よし、2人とも。この魔物を倒してみようかぁ」


 2人はまだ、クリスタの手助けなしで、魔族に対しての実戦経験はない。

 初陣にしては、うってつけの敵である。

 

 急に訪れる魔族との対峙を前に、2人は緊張している模様。


「2人とも、そんなに構える必要はないよ。今までの修行の成果を発揮できれば、倒すことが出来る」

 

 2人にそう伝えると、スノウとレイカは、互いを見つめ合う。

 そして、小さく頷き、戦うことを誓った。


「クリスタ様、最初は何をすればよいでしょうか」


「教えて、クリスタさん」


 2人は、早々にクリスタへアドバイスを求めた。

 しかし、クリスタは、2人を少し睨みつけた。

 

 ——いきなり答えを聞くか……


 ——もし、私がいなかったらどうやって戦うんだ……

 

 クリスタは、二人がすぐに頼ってきたことに、少し怒った。


「色々と試してやってみな。間に合わないようだったら、私がカバーするからぁ」


 とはいっても、最初の実戦で投げやりは可哀そうではある。

 クリスタは、ちょっとヒントを教えてあげようと思ったが、レイカが先に口を開けた。


「スノウ。まずは、ガーディアンシャドーの実物を見つけよう」


 魔力には色があり、緑色が人間、赤色が魔族である。

 雰囲気の範囲や色の濃さによって、その強さが分かる。

 範囲が狭いほど強く、色が濃いほど強い。

 ガーディアンシャドーは、弱め魔物のため、魔力の雰囲気の範囲も広く、色が薄い。

 魔力の雰囲気の範囲が広いため、見つけるのがちょっと厄介。

 そのため、この魔物は見つけにくい難点もあるのだ。


「うん? 場所なら大体わかるよ?」


「え、わかるの?」


「うん、クリスタさん、あっちの川の方だよね」


 大正解である。

 クリスタは、小さく頷いた。

 一度、魔族と戦った影響からなのか、スノウは魔力探索力が優れている。


「よし、なら行ってみよう」


 2人は魔物へ向けて、走り出した。

 

 ——今のところは、順調か

 

 クリスタは、敵の探索が順調に進んでいることに少し安堵した。


 茂みをしばらく走ると、その先に魔物を見つけた。

 魔物は、土偶の様な形をしており、赤い魔力を感じた。

 茂みに隠れながら、その魔物を観察する2人。


「よし、一撃で仕留める!!」


 スノウは、背中に閉まっている剣を取り出した。

 取り出したと同時に、茂みから身を乗り出し、木を超えるような高くジャンプし、魔物に切りかかる。


 すると、魔物は地面から大きな岩を発射してきた。

 その岩を慌てて、剣で切り裂き、受け身を取りながら、地面に着地する。


 ——動きはしっかりと見えている


 スノウは特訓の成果が出ていそうな、身軽の良さであった。


「スノウ、ここは私に任せて!」


 スノウは、魔力を白い杖にため込み、〈氷の魔法〉を打ち始めた。


「フロスト・スピア」


 この技は、氷の魔法を槍のような形で、敵を打ち抜く基礎の魔法である。

 

 魔物に〈フロスト・スピア〉を打ったが、魔物は地面から壁を作り出して、技を防いだ。


 ——流石、ガーディアンという名前がついているだけのことはある

 

 ガーディアンの意味は、守護者。

 それだけ、守りは固いということだ。


 さて、2人はどうやってこの魔物を討伐するのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

氷結の魔法使いエルフが、世界を救うために2人の凸凹バディを育てます。 エンザワ ナオキ @cashiore289

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画