堕天使ちゃんのいる日常。 サンタに“彼女”を頼んだら、堕天使が届いた件について
花路すずめ
堕天使ちゃんとクリスマス
12月24日にはとことん縁がない。
生まれてこの方、彼女なんてできたためしがない。25歳会社員。もちろん今年もクリぼっち。
周りが彼女が彼氏が〜だの、結婚だ〜だのほざいている中、俺はただただ虚しくぼっち生活。
毎年一緒にクリぼっちの会を行なっていた友達でさえ、ついに
「ごめん、俺彼女できちゃったから、」
と言って今年のぼっち会を断った。本当に1人でのぼっちの会を開催する気力すら湧かず、クリスマスっぽいことは何もせず今日を迎えた。
申し訳程度の反骨精神によって、食事は“聖夜”に全く持って関係ない、野菜たっぷり、ニンニクマシマシの二郎系ラーメンで済ませた。
「はぁ」
思わずため息をつく。きっとこの先もずっとクリぼっちなんだろうなぁ。一生、このままぼっちかぁ。
サンタや神様が本当にいるのだとしたら、願わずにはいられない。
「俺だって彼女欲しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
声が部屋の中で反響する。あー、ちょっと虚無ってきた。
ダン、と大きな音がして、壁が少し振動した。隣の部屋の住人から壁を叩かれたようだ。どうやら俺の叫び声は薄いアパートの壁を貫通したらしい。
ベットに寝っ転がり天井を見つめる。いつもと変わらぬちょっと色褪せた天井が、いつもより哀愁漂っているように見える。
俺は“早く寝る”という健康的な選択をしてベットの上で目を閉じた。
―――――――――――――――――――――
朝、顔に何か温かい物が触れる感覚がして目が覚めた。薄目を開ける。
「え、うわ、だっ誰?女の子? 」
もちろん昨日はしっかりと10時に就寝したため、疲れで幻想が見えてるとかではない、と信じたい。
「おっ、起きたぁ?」
きれいなストレートロングの金髪に、白いロングのワンピース。オレンジ色の目をした女の子が俺のベッドのそばに座っている。手をベッドの上に乗せて頬杖をついているため、シーツが少し乱れていた。
服装や髪型だけを見れば、まるで天使だ。
寝ぼけているため、回らぬ頭で目の前のこの娘は一体誰なのか、必死に思考を巡らす。
すると女の子は急に
「メリィクリスマァス!!」
と元気に叫び、どこから取り出したのかクラッカーを鳴らした。
全くもって状況が理解できず、困った顔をしている俺に女の子は説明をしてくれた。
「えぇぇっとね、ほら君クリスマスプレゼントに彼女が欲しぃって頼んだでしょ?
だから、ほら、私が彼女。
人間界でいう、クリスマスプレゼントってやつだよぉ」
謎の女の子の説明を聞き、俺はさらに困惑する。この娘は何を言いたいんだ?この娘が俺の彼女?
戸惑う俺の様子を見て女の子は、
「あー、伝わらなかったときはこれ渡せって、神っちに言われたんだぁー」
と呟きながら紙切れをポケットから取りだした。
「はいこれ。」
女の子は自分へと紙切れを手渡した。紙切れはポケットに入っていたからか、少しくしゃっとしている。丁寧に四つ折りにされた紙を開く。
「やあやあ人間よ。我はサンタ…というか、神じゃ。突然すまんのぉ。
この手紙を持ってきた子の面倒を見てほしくってのぉ。クリスマスに彼女が欲しい、とぼやいとったそなたに任せることになったのじゃ。
実は彼女は仕事の怠慢が重なって、天使から堕天使に降格したのじゃ。人間について学んで、試験を受けなければ天使に戻れないのじゃ。
そういう事じゃから、今日からこの娘の世話を託すのじゃ。
よろしく頼むぜよ⭐︎」
読み上げた俺は目線を目の前の女の子へと向ける。
「…。は? 」
手紙を読んでも全然意味がわからないんだが。俺が、この目の前の娘と一緒に暮らす?この娘が俺の彼女として?
「って事なんで、今日からよろしくねぇ〜」
堕天使はにっこりと笑うと、俺の肩にポンっと柔らかい手を置いた。
―――――――――――――――――――――
皆様こんにちは♪花路すずめと申します。クリスイブ、いかがお過ごしでしょうか。
私はフツーに仕事して、家帰って執筆したら1日が終わりました。悲しいですね。
もちろん家にツリーなんてもの飾っておりません。
明日もバッチリお仕事です。これが現実ですよみなさん。(私が少数派でないことを祈ってます…)
さて、次回から堕天使ちゃんとのドタバタライフがスタート! 下界に降り立った元“天使”の堕天使ちゃんは人間界でうまく暮らしていけるのか?
ぜひ、お楽しみに♪
面白いな〜と思ったらハートや星をぽちっとしてもらえると励みになります。クリスマスプレゼントだと思ってコメントなんかも残してもらえると泣いて喜びます。
それではみなさんメリークリスマス!
堕天使ちゃんのいる日常。 サンタに“彼女”を頼んだら、堕天使が届いた件について 花路すずめ @Suzume-hanamiti07
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。堕天使ちゃんのいる日常。 サンタに“彼女”を頼んだら、堕天使が届いた件についての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます