路上占い、あれこれ140【占い師は中学生と】

崔 梨遙(再)

ホッと一息。 この物語で 1797文字 です。

 僕が夜のミナミで路上占いをしていた時。僕は『処女はおらんのか?』が口癖の50代のオッサン、立花さんと出逢い、不良女子中学生5人組と出逢った。そしていろいろあって、5人の中の聡子と付き合っている芝居をすることになった。まあ、そっちはほぼ放置だった。ほぼ放置なのだが・・・たまに聡子から連絡がある。



『はい、何?』

『崔さん、勉強を教えてくれませんか?』

『いいよ、その代わり喫茶店か図書館にしてね。不埒な関係だと思われたくないから。職務質問とかされたら嫌だし』

『喫茶店がいいです』

『場所と時間は?』

『〇〇時、〇〇駅前の〇〇ビルの前でお願いします』



『崔さーん!』

『おお、ほな喫茶店に行こうか?』


『どの教科?』

『5教科全部、ちょっとずつわからないことがあって』

『はいはい、どの教科でもどうぞ』

『崔さん、大学は?』

『〇〇〇〇』

『いいですね、中学の時の成績は?』

『学年160人中の2番。1番にはなれなかった』

『じゃあ、数学から・・・』

『・・・はいはい、この問題のどこがわからないの?』

『この公式では解けないんです』

『ああ、ここはね・・・・・・』


『終わり?』

『終わりました。試験前ですが、わからないところは全部わかりました』

『ほな、パフェでも食べながらリラックスしたら?』

『崔さんって、大人ですよね?』

『見ての通りのオッサンだよ。もう30代なんだから』

『そうじゃなくて、デートに慣れてるなぁと思って』

『そりゃあ、そうだろ』

『崔さん、経験人数は?』

『言わない』

『なんでですか?』

『言ったら、想像より多いから嫌がられるから』

『そんなに多いんですか?』

『言わない。言いたくない』

『30人?』

『聡子ちゃんの想像よりも多いと思う。もう、それでいいじゃん』

『凄いですね』

『無駄に経験人数だけ多くても意味ないよ』

『そうですか?』

『そうだよ』

『あ、お願いがあるんですけど、今度の土曜だけデートしてください』

『なんで?』

『私達、5人のグループじゃないですか』

『うん、知ってる』

『みんなで彼氏を連れて来て、集団デートすることになったんです』

『集団過ぎるよ、10人になるじゃん』

『そうなんです。お願いします』

『わかった、行くよ。中学生9人に混ざる30代の僕ってどうなの?』

『大人! って感じです』

『はあ・・・・・・』



『崔さん、早いですね』

『女の子を待たせない主義なんだ』

『さあ、みんなと合流しましょう』

『どこに行くの?』

『まずはランチです』


『ファミレスじゃん!?』

『そうですよ。どうかしましたか?』

『いや、なんでもない』


『崔さん、デート中は腕を組みますよ』

『うん、好きにしてくれ』


『崔さん、お久しぶりでーす!』

『ああ、みんな、久しぶり』

『あんた達も崔さんに挨拶しなさいよ』

『え? ああ、こんにちは』

『こんにちは』

『一条です』

『二条です』

『三条です』

『四条です』

『崔です』


『ああ、美味しかった。崔さん、また占ってくださいね』

『うん、いつでもいいよ』

『崔さん』

『何? 民子ちゃん』

『崔さんは聡子のこと、カワイイと思ってますか?』

『うん、思ってるよ。普通に美人だと思ってる。それに、自分の彼女が1番でしょ? あ、違うな、ナンバーワンじゃないんだよ、オンリーワンなんだ。好きになったら、その女性しか見えなくなるから』

『ちょっと、聞いた? 一条君。あんたもこのくらいのことを言うてや』

『でも、崔さんはまだ聡子とHしないんですよね?』

『うん、二十歳までは』

『それでいいんですか?』

『仕方ないじゃん、それに、一緒にいて楽しいし。楽しければいいんだよ』

『二条君、あんたもこのくらいのことを言ってよ』

『あ、若い内は性欲も強いから、仕方ないと思うよ』

『崔さん、大人-!』

『そろそろカラオケ行こうか?』

『そうやね、伝票は・・・?』

『僕が払うよ』

『いいんですか? 崔さん』

『うん、このくらいなら』

『三条君、あんたももっとデート代出しなさいよ』

『いや、中学生はバイトも出来ないし、お金のことは仕方ないよ』



『それじゃあ、解散-!』

『崔さん、またねー!』

『崔さん、今から聡子と食事ですか?』

『どこに行くんですか?』

『今日はフレンチ、僕の好きな店があるから』

『いいなー!』

『じゃあ、解散-!』



 それから数年、僕の携帯が鳴った。


『はい、崔です』

『聡子です。番号を変えたんです。おぼえてますか? 中学生だった聡子です』

『ああ、久しぶり。どうしたの?』

『私、今日、二十歳になったんです!』




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路上占い、あれこれ140【占い師は中学生と】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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