それ、それずーっと言って欲しかったの

クライングフリーマン

それ、それずーっと言って欲しかったの

 当時は、「ト〇コ風呂」と言った。

 今で言う風俗である。

 ト〇コの名前を使わないで欲しい。ト〇コ人が困っている、とある弁護士が裁判を起こし、勝訴した。

 だが、かなり後の時代になって、弁護士の『売名行為』だった。

 知り合いのト〇コ人は、「変ですねえ。」と言っただけで、別段差別を受けていた訳ではなかった。そもそも、一目で〇〇人と言い当てられる外国人なんていない。

 さて、僕は、当時童貞。

 勇気を出して、地元の特殊浴場に行った。

「ベテランの方をお願いします。」「解りました。」

 源氏名でも、パット見でも違和感ないし、思い込んでいた。

『風俗行為』は『スペシャル』という『補助』だった。いや、『介助』かな?


 一目惚れした僕は、なけなしの金をはたいて、『興信所の探偵』に身辺調査を依頼した。

 失敗だった。尾行は簡単にばれた。

 探偵の社長は、ほら吹きで能力がないことが解った。

『彼女』から、告白された。

「オンナだと思っていたの?ここはね、色んな人が働いているのよ。『ベテランの女の人お願いします』って言えば良かったのよ。」

『彼女』は、かつらを取った。メイクも落した。

 下半身を触らせないのは、『段階』があるのだと思っていた。

 僕は、謝った。

 でも、『彼女』は同情し、ヨコハマの歓楽街の『本物のお店』を紹介してくれた。

 そこで『結婚する予定になる彼女』と出逢ったのは、後の話。

 結局、破局したが。

 だから、どうした?

『彼女』は、「それ、それずーっと言って欲しかったの」と涙を浮かべて別れ際に言った。

『彼女』は、気づいて欲しかったのだ。

 そして、この台詞を待っていた。「〇〇さん、本当はオトコ?」

『彼女』が弟の苦労話として話していたのは、。自分自身のことだった。

 交通事故を起こして会社をクビになり、トラックの運転手を辞めた話。

 高卒、いや、高校中退でイジメや差別があったこと。

 僕は、真剣に聞いていた。

 事情自体は、嘘じゃなかった。

『彼女』は『オカ〇さん』の道に入った。

 近年、LGBTなどで五月蠅く言って、法律まで作ったが、利権の為の『口実』『エサ』でしか無かった。

 当時から、『中道』の世界はあったし、差別と言われるものは、跳ね返して生きていたのだ、あの人達は。

 調査費の10万円、勿体なかったが、いい勉強になった。


 ―完―

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それ、それずーっと言って欲しかったの クライングフリーマン @dansan01

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