路上占い、あれこれ137【占い師は危ない橋を渡る】

崔 梨遙(再)

まとめています。 食後の2098文字 です。

 夜のミナミの路上占い、女子中学生5人と変態金持ちオヤジの相手をしたら、女子中学生の1人、聡子から声をかけられた。なんだかわからないが、僕は24時間営業のカフェに聡子と入った。



『相談って何?』

『他の女の子達の前では言えない話です』

『うん、どんな話?』

『私を助けてほしいんです』

『結論から話すのはいいことだけど、結論過ぎてよくわからないよ』

『私、転校生なんです。いじめられそうになったところをさっきの4人に助けてもらいました』

『うん、それで?』

『友達はあの4人しかいません。でも、あの子達、ファッションと男子のことしか考えていないんです。成績も悪いし』

『君は?』

『学年160人中の20番以内くらいです。調子が良ければ10番くらいです』

『まあまあ、成績はええんやな』

『はい、だから高校はあの子達とは別です。今だけ、あの子達と友達のまま過ごせたらいいんです』

『で、何を悩んでるの?』

『あの子達、男子とキスした、聡子もキスしろ、Hした、聡子もHしろ、男子と付き合った、聡子も誰かと付き合えってうるさいんです。一応、服とかネイルとか、或る程度合わせてはいるんですけど。このままだと、好きでもない男子とくっつけられそうなんです。私は高校受験の方が大事だし、今は男子に興味が無いんです。でも、或る程度は合わせないと遊んでくれなくなるやろうし・・・悩んでいます』

『じゃあ、誰かと付き合い始めたことにしたらええやんか?』

『そんな芝居を頼める男子はいません』

『・・・・・・』

『・・・・・・』

『・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・・・・・』

『なんで無言なの?』

『いいアイディアが浮かばないからです』

『わかった。僕は芝居に付き合うわ』

『いいんですか!?』

『うん、僕と付き合い始めたことにしたらええやんか。彼氏が出来たことにしたら、もうキスしろとかHしろとか誰かと付き合えって言われなくなるやろ? 僕やったら他の4人と面識があるし、ちょうどええんとちゃう? どう思う?』

『是非お願いします』

『ただし! 1つだけ譲れない条件がある!』

『なんですか?』

『まだまだプラトニックなお付き合いだということにしてくれ。Hしたとか、そんな嘘は絶対に言ったらダメだからね。その約束が守れるなら芝居をしてもいい』

『わかりました! ありがとうございます』

『絶対にHしたとか嘘をついたらアカンで、僕が捕まるから』

『はい、わかってます』

『ほな、そういうことで。何かあったら電話くれ。名刺は渡したよね』

『はい!』

『ほな、今日はこれで・・・って、始発までどうする? ビジネスホテルにでも泊まる? お金は出してあげるよ。勿論、泊まるのは君だけだよ』

『遊んでもらえませんか? ちょっとだけデートしてください。私、デートはしてみたかったんです』

『どこに行きたいの?』

『カラオケとか、ボーリングとか』

『普通だね!?』

『中学生のお小遣いだとあんまり遊べないんですよ』

『じゃあ、体力を使うボーリングから行こう』



『おらー! ターキー!』

『崔さん、凄い! めっちゃ上手いじゃないですか』

『学生時代、よく講義をサボってボーリングしてたんだよ。男ばっかりで』

『崔さんが上手いから注目されてますよ』

『アカン、アカン、全盛期はスコア200越えてた。このペースやったら180くらいやろ。久しぶりやからなぁ』

『私、ガーターばかりです』

『慣れてないから仕方ないよ。それに、女の子は下手な方がカワイイかも』

『でも、なんか、ボーリングって思ったよりもおもしろいです』

『そうか、それは良かった』



『崔さん、やるんですか?』

『ビリヤードは初めて?』

『はい、初めてです』

『じゃあ、いい経験になるね。やろうよ。教えるから』

『うわ、うわ、難しい』


『私、ずっと下手なままでした・・・』

『つまらなかった?』

『ううん、楽しかった』

『それならいいじゃん、デートは楽しめたらいいんだから』



『崔さん、これやるんですか?』

『うん、ダーツも初めて?』

『はい、初めてです』

『とりあえずやってみようか』

『あ、いいところに刺さりました』

『おお、上手いじゃん。その調子、その調子』



『いよいよカラオケですね』

『うん、後は頼む』

『崔さんも歌いましょうよ』

『僕が歌うとシラケるから嫌』

『歌ってみてください』

『・・・・・・』


『ほら、シラケた』

『崔さん、多分、歌は上手いんだと思いますよ』

『上手くないよ』

『ただ、誰も知らない曲を歌うから盛りあがらないんだと思います』

『悪かったね、誰も知らなくて』

『私の歌はどうですか?』

『普通に上手いと思うよ。声がキレイだから羨ましいよ』



『流石に眠くなってきたなぁ』

『崔さん、私、全然眠くないです』

『でも、今日はもう帰ろうね。徹夜してるし』

『はい、帰ります。でも、興奮してるから多分眠れません』

『駅まで送るよ』

『崔さん、今日のデートは友達に話してもいいですか?』

『うん、いいよ』

『崔さんは女性が二十歳未満だと抱かないんですか?』

『うん、最低でも二十歳だね』

『じゃあ、私が二十歳になったら連絡しますね。それまで携帯の番号は変えないでください』



『はいはい、わかったよ』




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路上占い、あれこれ137【占い師は危ない橋を渡る】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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