第7話

 ハルさんが取り乱したのも束の間で、すぐに落ち着いた声で私に告げる。


「ユカちゃん。これは昔の子供の骨壺よ。今すぐ元の墓地へ戻しておいで」


 え……これが?


 私は声を失う。

 なんで? 普通にコロンと道に落ちていたよ? そんなことが?


「大丈夫。私からトモくんに説明するから。あとは全部トモくんに任せとけば平気だから。ユカちゃんはもう触らないで大丈夫。二人でサッと行っておいで、早く」


 トモくんの運転するトラックに乗って二人、もと来た道をとんぼ返りして、再び西の村へ向かった。


 とにかく広大な墓地群だそうで、「草が多くてウシオジの家に近く、現役じゃない感じはあそこら辺かなあ」とトモくんが目星をつけた。


 墓地に着き、車から降り歩き始めるも。

 だだっ広いこの場所の具体的にどこで拾ったか、覚えてもいないし見当もつかない。


「ど、どうしよう……あのとき彷徨さまよって散々歩き回ってたし。全然思い出せる気がしない」


 やばいやばい。

 焦って、闇雲に奥へ走り出そうとした私を「待ってユカちゃん」とトモくんが引き止める。


「こんなのは、その辺に転がしておけば良いさ」


 リュックから壺を取り出して、無造作にポイっと道端に放った。


 あっ?!


 壺は割れることなく、ゴロンと転がる。


「さ、帰ろ」


 トモくんのあまりのあっけない仕草に拍子抜けして、呆然と立ちすくむ私の手を取り。

 彼は飄々と私を引っ張って、トラックへと戻って行った。






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