【短編コン】男の娘ロボット

野口マッハ剛(ごう)

新しいSFコメディ

 オレは真島、二十歳だ。それで無職でもある。


 自宅に配達ロボットが大きな段ボールを運んできた。画面の指紋認証が印鑑の代わり。


 オレは鼻息を荒くして段ボールを開封する。


 中に入ってあるのは男の娘ロボット、YUIたんである。


 なるほど、服はセーラー服なのか。ランダムで服は初期段階で着せてあるらしい。レアなYUIたんは最初からスクール水着を着せられているらしい。


 さて、YUIたんを起動させよう。スタートボタンは後頭部の辺り、ポチっとな。


「ふええ、恥ずかしいよぅ」


 男の娘ロボット、YUIたんの産声第一声はそれだった。ボイスはアニメ声優の睡蓮ミナホさんだ。よく男の娘キャラの声を担当する人。


 まずは、この男の娘ロボットはニュータイプのダッチワイフと呼ばれている。それだけリアルな男の娘ロボットなのである。


 オレは鼻息を荒くしてスカートをめくる。


「ふええ、恥ずかしいよぅ」


 男の娘ロボットは恥じらいのポーズをとってそう言う。


 うむ、苦しゅうない。


 次に胸の辺りをサワサワ触ってみる。


「くすぐったい」


 YUIたんはキャッキャウフフと笑う。


 ハアハア。


 もう辛抱たまらん。


 強引にスカートをずり下ろすオレ。


 そして、おパンツを拝む。


 しかし、無いのである。


 本来ならばそこにあるはずのモッコリが無い。


「ガッデム! 騙された!」


 オレが部屋で怒り狂っているとオカンが入ってきて。


「あんた、またそんなん買って! お小遣いもうあげへんからな!」


「ふええ、恥ずかしいよぅ」


「オカン、部屋に入って来るなって言っているだろう!?」


「情けないわ、ロボットのダッチワイフなんか買って! 彼女を作りや!」


「違う、これは男の娘ロボット、YUIたんだ!」


「男の子? あんた、これは女の子やで? いい加減にしいや!?」


「ふええ、恥ずかしいよぅ」


「オカン、部屋から出ていってくれ!」


 オカンは去っていった。


 本当にがっかりだよ。


 オレはがっかりしている。


 ホームページにはゾウサンが付いてます、って書いてあったのに。


「ふええ、恥ずかしいよぅ」


「分かった分かった。ところでおパンツの下はどうなっているんだ?」


 オレはおパンツをずり下ろす。


 男の娘ロボット、YUIたんの股間から何か飛んできて顔面に食らった。


「ゾウサンミサイル発射! もうエッチ♡」


 オレはがっかりしている。床を見るとゾウサンのフィギュアが落ちてある。


 情けない、こんなの買って。

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