詩集 青写真

和合八太

春暁

 春暁 

 朝陽さす窓辺が

 ぐわんと弛み

 煽り重ねた火酒の底

 夢の名残が沈んでいる


 成りたいようにはなれないと

 知った挙げ句のこの始末

 まっすぐ歩いている気になった

 苦い昨日を呑みくだす


 破れ障子のしみの数

 屑籠が目にちらついて

 アゝ 煩わしさに掻きむしる


 眼窩刺す陽に眩みつつ

 窓辺に寄れば好いおソラ

 酔歩の朝は天高し

 何がなくとも世は晴れる

 憎いほどにも晴れ渡る


  明日 花が咲くだろう

  真白い洗濯もの広げ

  隣家の妻が笑んでいる


 瓶を逆さに一滴二滴

 こんなに喉が乾いていては

 わらう真似さえ痛いじゃないか

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2025年12月14日 20:00
2025年12月15日 20:00
2025年12月16日 20:00

詩集 青写真 和合八太 @10fk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る