タイムリープをした俺は、かつて隣人だった黒髪清楚美人の【黒瀬 冬香】、その親友で元気っ子ギャルの【金城 夏帆】と青春をやり直す!
第1話 黒瀬 冬香を失い、金城 夏帆から嫌われた世界からタイムリープ!?
タイムリープをした俺は、かつて隣人だった黒髪清楚美人の【黒瀬 冬香】、その親友で元気っ子ギャルの【金城 夏帆】と青春をやり直す!
シトラス=ライス
第1話 黒瀬 冬香を失い、金城 夏帆から嫌われた世界からタイムリープ!?
「何のために仕事して……何のために、生きてるんだろ俺って……」
夜の1人きりのオフィスで、俺はそうつぶやいた。
でもそうしたところで待遇が良くなったり、上司からのパワハラが無くなるはずもない。
だから自分はーー【
そして今日は最悪なことに【8月24日】なので、特に気分が重い……。
ふと、デスクに放り投げていた、スマホがカタっと震えた。
先日クソパワハラ上司に無理やり連れて行かれたキャバクラにて、強引に登録させられた店のRINEアカウントからDMのようだ。
内容はたぶん、新人キャストの案内とか、そういうのだろう。
あまりこういうことに興味はない。
もうキャバクラなんて行くこともないだろうし、この機会にアカウントをさっさと消してしまおうとスマホを手に取るとーー
「とうか……冬香っーー!?」
思わず映し出された女性の源氏名を読み上げてしまう。
そして地元にいた頃の記憶が、色鮮やかに思い出される。
ーーかつて、地元にいた頃、実家の隣には、とても可愛くて、みんなの人気者で、いつもギターを弾いていたーー【
『お、おはようございます、白井くん!』
時々、偶然にも登校時間が重なった時、長い黒髪に赤い大きなリボンをつけた黒瀬さんは、眩しい笑顔を浮かべながら、俺なんかにも挨拶をしてくれるくらい優しかった。
加えて中学生にしてはおっぱいが大きめで、形が良く、ピンク系の可愛いデザインのブラジャーを好んでいて……なんでブラの好みなんかを知っているかというと、部屋が隣同士だから、時々見えてしまっていたからである。
ーーそんな基本的にみているだけしかできなかった黒瀬 冬香さんという美少女。
片やモブな俺。
でも俺と黒瀬さんの間にはたった一つだけ大事な思い出があった。
『今日の記念に片方は白井くんが! それに私たちお隣さん同士ですし……』
今でも、お守りのようにカバンに忍ばせている【砂時計を封じた青いギターの形をしたキーホルダー】
これは中2の冬頃、地元の神社でたまたま鉢合わせした黒瀬さんに頼まれて買った、ペアキーホルダーの片割れだ。
どうやら彼女は片方だけが欲しかったらしく、2人で購入してその後……赤い方を黒瀬さんが、青い方を俺が持つこととなった。
こんな甘酸っぱい思い出もあるのにもかかわらず、俺はこれ以降彼女との距離を縮めることができなかった。
彼女のギターに影響されて、ベースを始めたけれど、それさえも切っ掛けにできなかった。
そして俺がモジモジしている間に、黒瀬さんは中3の【8月24日】に凶悪事件に巻き込まれてしまったのだ。
彼女が妙な連中に突然拉致監禁された挙句、数週間にわたって酷い暴力を受け続けて、警察によって救い出された時には、すでに身も心もボロボロにされていたという、凶悪事件……。
その事件後、黒瀬さんは不登校となり、お隣からも引っ越してしまった。
以降彼女がどうなったのか、まともな人生を送れてるのか、生きているのかさえわからない。
「もしも、あの時俺が勇気を出して、黒瀬さんと仲良くなってたら……」
キーホルダーを分け合ったというきっかけがあったのだから……。
同じ音楽というつながりがあったのだから……。
それらをきっかけに、仲良くなって【8月24日】に黒瀬さんを1人にしなければ……。
ーーそしてこの事件を思い出すたびに、俺は決まって"黒瀬さんの親友"から叩きつけられた、辛辣な言葉に胸を痛める。
『あんた、冬香のお隣さんなんでしょ!? なんであの子を助けてあげられなかったの!? どうしてみてあげられなかったの!? もしあんたがちゃんと、冬香のことを見てれば、あの子はあんな目には……!』
黒瀬さんの親友で、クラスのムードメーカー的存在だった【
明るい髪色に、可愛い顔立ちと、黒瀬さんと並んで当時の学校では"美少女2台巨塔"の片割れと言われていた彼女。
でも俺は、金城さんから黒瀬さんの事件をきっかけに一方的に嫌われてしまっていた。
その影響で、俺は元々根暗だった性格がより強まり、以降の青春時代を全く楽しめずにいた。
「もしもあの日、俺が黒瀬さんを救っていたのなら……」
たとえ、仲が深まらなくても、美しい黒瀬さんとその未来を守れたんじゃないか。
金城さんにも嫌われることなく、多少はまともな青春時代が送れていたんじゃないか。
今でもその後悔が俺の胸に巣くっているのは言うまでもない。
しかしこうしていくら後悔しても、過ぎ去った時間は取り戻すことはできない。
そして今の俺にできるのは、目の前の仕事を放棄し、この全く別人だが、源氏名が"冬香"というキャバ嬢と会って、なけなしのお金を叩いてシャンパンを一本でも入れてあげることだろうか。
そうすれば、俺の心の中に救っている【8月24日】の意味が変わるんじゃないか。
俺は早速パソコンを閉じ、黒瀬さんとの思い出のキーホルダーを握りしめ、オフィスを出る。
陽が落ちてもなお、茹るような暑さで汗を流しつつ、繁華街へ向かっている時のことーー
「ーーーーっ!?」
視界が真っ白に染まり、タイヤの摩擦音があらゆる音を支配する。
そしてドンっ! という衝撃と共に、俺の体は宙を舞っていた。
目下には、巨大なトラックの車体。
どうやら俺は、トラックに跳ね飛ばされてしまったらしい。
(俺の人生はここで終わりか……呆気ない末路だったな……まぁ、黒瀬さんと同じく【8月24日】にこうなったんだから、まぁいいかぁ……)
●●●
目が覚め、目の前に懐かしい天井の様子が浮かび上がる。
この天井は、実家の、しかも俺の部屋……? でもなんで?
しかも暑さの中にうっすらとし爽やかな空気を感じる。
ここ最近の夏ではありえない空気感だ。
これじゃまるで、中学時代の頃のよう……
「このギターの音って……!?」
柔らかで、情熱的なアルペジオ奏法。
その音は俺をベッドから浮上させた。
そして恐る恐る、閉じられた窓のカーテンを少し開いてみると、
「黒瀬さん……!? 黒瀬さんが、お隣に……!?」
窓の向こうでは、中学の頃の記憶と全く変わらない姿の【黒瀬 冬香】さんが、しなやかにギターのフレットを押さえつつ、弦から情熱的な音をかき鳴らしていた。
懐かしいな、黒瀬さんが奏でる、このギターの音色……
と黒瀬さんのギターに聴き惚れている中、彼女は演奏をやめて、ギターを置いた。
そして立ち上がり、おもむろにシャツの裾を摘んで、躊躇うことなく細いウェストとお臍をさらすと、徐々にお目見え始める、絶妙な大きさと形を誇るおっぱいと、それをしっかりと支えているピンクの可愛いデザインのブラジャー……
「み、見ちゃいかん!!」
カーテンを閉じ、背を向ける。
頭にこびりついた黒瀬さんの下着姿が、俺の胸やら何やらを明確に反応させる。
すごいのな中学生の体って。こんな微エロで反応できるんだもん……って、若返った自分の体に感動している場合じゃない!
俺は急いでスマホと壁にかけてあるカレンダーを見比べた。
【8月24日】という日付を目にした途端、胸へ押しつぶされるような痛みが浮かび、背筋がゾクっと冷え込む。
8月24日は、黒瀬さんの拉致監禁事件の発生当日。
そして今、このカーテンの向こうでは黒瀬さんが着替えているということは!?
再び窓へ視線を移す。ちょうど、着替えを終えた黒瀬さんの背中が扉の向こうへ消えてゆくことだった。
「い、急がないと!!」
さすがにTシャツとトランクス姿で飛び出すわけには行かず、クローゼットを開けた。
適当な長ズボンをひったくり、履こうとするも、焦っているためか足がなかなか通らず。
それでもなんとかズボンを履いて、ドタドタと階段を下ってゆく。
「ちょっと、雪也! どたどたうるさいわよ!」
「ご、ごめんっ母さん! ちょっとコンビニ行ってくる!!」
久々に聞いた母さんの声に感動しつつも、今はそれどこじゃないと、家を飛び出した。
ズボンを履くので手間取ったせいか、外に黒瀬さんの姿は見当たらなかった。
「どこへ行ったんだ……どこに……!?」
そういえば、黒瀬さんの事件のあと、この先の路地に突然防犯カメラが設置されるようになった。
もしかすると、そこが黒瀬さんの捕まった場所……?
躊躇ってる場合じゃない。
もしハズレだったら他をあたれば良い!
そう決め、駆け出してゆく。
今、俺に何が起こっているのかはわからない。
でも今日は8月24日で、うちの隣には元気な黒瀬さんの姿があって、今の俺はたぶん中学生でーー
「た、たすっ……んむぅーーっ!」
目的の路地へ飛び込んだ途端、背筋がひやり凍った。
人気のない路地裏には黒い車が止まっていて、そこから降りただろう複数の男たちが、黒瀬さんの口を塞いでいたのだ
明らかにヤバい連中。そして黒瀬さんの危機。
だが、目の前に突きつけられた恐ろしい光景に、足がすくむ。
これは多分、動物としての本能が危険を知らせている合図。
「バカか、俺は……これはせっかく掴んだチャンスなんだぞ……」
相変わらずの自分の臆病ぶりに辟易した。
だけどそんな中、脳裏をよぎったのは、かつて自分を変えたくて買ったが、たいして使えない自己啓発本の、だけど唯一心の刻み込まれた言葉。
【結果を得る者は、必ず行動を起こしている!】
そうだ……俺は、こうして運命を変えられる大きな岐路に立っているんだ。
たとえこの先にどんな未来が待っていようとも、運命が変えられるならば……!
「い、行くぞっ……やってやるっ!」
俺は勇気を振り絞り、歯を食いしばった。
そして黒瀬さんを捕まえている男たちへ迷わず駆け込んでゆく!
【作者からの大事なお願い】
本作はカクヨムコン11の参加作品となります。
読者選考を通り、先を見据えるためにも、是非作品フォロー・★評価・各エピソードへのいいね・ご感想などをください。いずれも本作の評価の基準となり、躍進するきっかけとなります。
ですので、本作を良いと思ってくださいましたら、些細なことであろうともなにかしらの“アクション”を起こしてくださいますよう、お願い申し上げます。
特に★のつき方が悪くなると急落し、そこでゲームオーバーになります。なんだか【最新話の最下部】にしか入力欄が出ないようなので。
また併せて作者フォローもしていただけますと、大変ありがたく存じます。
それではどうぞよろしくお願いいたします。
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