簿記札 第一課

taisuke

抜け殻

一方でかえでを悲しませた杉野は、章介への断罪を決意し、策を練る。


「章介、君が悪いんだ。ぼくのかえでを汚しやがって!僕のモノなんだ、かえでは」と熱くなるが、電話がなりそれに出る杉野。


「はい」

「君に新たな指令を伝える」

「わかりました。大丈夫ですよ、この前の練習戦みたいにやれば はい、僕に任せてください。岩下の間抜けみたいにはしくじりませんから。はい、骨島さん お金の件はよろしくお願いします」とピと切り、高笑いに浸る杉野。


一方、過呼吸を起こした章介は、母と共に簿記札の練習戦で過去をフラッシュバックした経緯と亡くなった翔琉について、病院の先生に相談したが、満足行く結果にはならなかった。


「こんなこと言いたくなかったけど、中卒でもいいから働きなさい。その方が忘れられるから。あんたが翔琉君に縛られて生きていても翔琉君が望むか」

「身体を動かせか 考えてみるよ。多分謹慎期間がネックで中退の可能性ありそうだしな」

「章介までいなくなったら!」

「母さん」


簿記札協会も役員定例会が行われていて、巻咲かえでのランキングを38位に昇格が決まるが、章介の追放を画策していた役員達から周藤に批判や怒号が飛び交うなか、秘書が引き攣りながらも議事録に記していた。


「暮村君には主審は早すぎたね。わかったよ、それと反対決議はするが章介君のことはまだ待ってくれ」

「会長!」

「早く、木田の追放を!観客が帰った悪い競技のイメージが纏わりつきます!」

「何故、君達が章介君を目の敵にするのかな。疑問だったんでね」

「早く、反対決議を!会長」

「そのかわりだが、提案がある。章介君と同じグレーなプレイヤーが判明した巻咲かえでくんと仲が良い杉野卓のことも もしかしらだけどね、彼あの団体と繋がっているんじゃ」

「お待ちください!それは」


「ビターエンディングス、闇簿記札を流通させた団体で、我が協会の敵 代表は炎戟乱麻の」


「ビターエンディングスって」

「あの集団か」

「近々、宣戦布告もありそうだな」

「しかし、今ベテランプレイヤー達は捜査に行っていて数が」

「今は彼らも潜伏中でね。藁をも掴む思いだ」

「木田を利用して、炎戟達を誘い出すつもりですか」

「利用ではなく契約して、ビターエンディングスとの戦いの主力にしたい」

「会長、あなたは肩入れしすぎでは彼に」

「そうだ!肩入れが過ぎる」

女性役員達も意見を出したりしたが、ある人物は「彼は謹慎明けなのに練習戦の要請を出しましたよね。それも問題ではないかと」

「ルール上は問題ないけどね。しかしこれ以上はキリがないな 役員会は終わりにする」

「会長!勝手すぎます!」の声を聞かぬまま退室すると


(戦力を揃えなければならないな、大いなる戦いの備えのために!そのためにも木田君達、若い血が必要なのだ!!何故理解しようともしないんだ!!)


続く


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る