第5話 ダンジョンの出現

 世の中にホルダーが現れてから数日、国が「ダンジョンが出現した」と発表した。


「ダンジョンに入れるのは原則ホルダーのみであり、一般人の立ち入りは認めない。万が一入った場合は負傷しても自己責任である。」


 とのことだが、自己責任ならと一般人なのにダンジョンに入る馬鹿が出そうだな。

 家族に自分がホルダーだったこと、S級のこと、偽装としてA級としてやっていくことを話した。二人とも喜んでくれたが、同時に心配していた。


「身の危険があるところに息子を行かせるわけにはいかない!」

「本当に大丈夫なの?」

「俺は大丈夫。死なない程度にやるさ」

 ・

 ・

 ・


 今日は初めてダンジョンに行く日だ。目指すのは、「盗賊の巣窟」というA級ダンジョンだ。名前からわかる通り、隠密行動をする敵が多く、ドロップ品の出方もそっちに傾いているらしい。今日の本命は「隠密のローブ」と「変装の仮面」である。こふたつがあればS級として活動しても俺だとバレることはないだろう。


 ダンジョンに入り、少し歩くと、後ろから大きなナニかが襲ってきた。スキルを使ってみる。


「『神槍グンニクル』」


 俺の隣に光る槍が現れ、そのままナニかに当たり、その巨躯に風穴を開けた。


 ≪シーフ・ゴブリン(フレイム)を討伐しました。討伐時間が1分以内なので、特別報酬が与えられます≫

 ≪スキル『炎神アグニ』を獲得しました≫


 新しいスキルが手に入った。仰々しい名前だけど、ほんとに使えるスキルなのかな?っと。ほかのドロップは……ゴブリンが着ていた漆黒のローブだけか。一応鑑定。


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 隠密のローブ/ローブ

 ・着用時、常に認識されにくくなり、カメラなどで撮影されてもぼやけて映る。

 ・持ち主以外は触れられない。

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お目当てのものが早速手に入った。残すはあとひとつである。

今の戦闘で攻撃力は十分だと分かったので、何も怖くなくなった。さぁ、行こうか。

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