小さな反抗

堺透明

第1話 ミニチョコボール

『私の名前は、倉木美咲。5歳。』

『小さいからって馬鹿にしないでね。私は、偉い。何が偉いって、駄々をこねれば何でもしてくれる。家族の中で一番偉いのだ。うふん。』


 今日は、ミニチョコボールを買ってもらう。

「ねぇ、ママこれ買って。」

「またー。ダメです。この前も買ってあげたでしょ。」

「何言ってるのこの前は、グミチョコだったよ。」

「チョコはチョコでしょ。」


今回も、駄々をこねる。うふふふふふ。

ママの服の袖を掴む。

「ねぇ、買って、買って、買って。」

「ダメです。」

母親の行動を阻害したがダメだった。


今度は、連呼で耳を痛くさせる。

「買って買って買って買って買って買って。ママ。」

「駄々をこねてもダメです。」

「買ってよ。」


泣いたふりをするのは、慣れている。うふ。発動。

「うぇ〜ん。買ってよママ。買ってよ。」

「泣いてもダメです。」

「だめなの。ママ。」

必殺奥義。目を潤ませながら少し下を向き目だけ上を見る。

「そんな可愛いことしてもダメです。」


これは、使いたくなかったが・・・最終手段。くっ。

「買ってくれないと。この前、パパに内緒で男性アイドルのライブに行ったことバラすよ。それでもいいの。」

ママの顔は、少しひきつった顔をする。

「・・・。なんで、そんなことを知ってるの。」

「そんなの内緒。さぁ、ママ買ってくれるの。」

腕を組み、解答を待つ。


「・・・。わかったわ。今回だけね。この子は、どこで。・・・。」

「やった。私の勝ち。」


『私は、毎日が親との戦い。』

その日、ミニチョコボールを美味しくいただきました。

ママのダメージ、―20円。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る