第6話【 午前 7:00 】

物語の「定説(ここまで来たら一旦落ち着く)」という壁を、音速のバスタブで粉砕します。

レトロゲームハードの魂を宿した、最凶のデジタル・ウィザードが登場。次元の壁さえもビットの海へと変えていきます。


***


### 第6話:『16ビットの悪夢(バスマアム)』


「あわわわ、シンギュラリティ)になっている」


「じゅう……ろくびっと?」


「そうだ。そして今、その特異点から新たな脅威が出現しようとしている」


男が指差した先。

オフィスの巨大モニターが大仏の手が! 手がぁぁぁ!!」


視界を覆う巨大な掌。わたし達、勝手に切り替わった。

映し出されたのは、わたしの自宅のアパートだ。

しかし、その屋は「大仏に洗われる」という謎の死因で人生を終えるはずだった。

だが。根の上には――


**ガシャアアアン!!**


屋根を突き破り、三体のロボ


**ピロリロリンッ♪(起動音)**


突如、宇宙空間に軽快かつット……いや、メカニカルな老人が出現した!


一体目は、角張った白いボディに赤いチープな電子音が響き渡った。

次の瞬間、大仏の腕がノイズ混じりのブロックライン。「**ガンダルフ・マークIII**」!

二体目は、黒と赤の流線型ボディ状になり、ガラガラと崩れ去ったのだ。


「な、なに!?」

わたしは目を見開く。「**ガンダルフ・マスターシステム**」!

そして三体目、漆黒のボディに金色の『16。

崩れた大仏のデータの海から、幾何学的な光のラインが走り、一つのシルエットを-BIT』の文字が輝く、「**ガンダルフ・メガドライブ**」!!


『我ら、形成していく。


それは、ロボットだった。

いや、サイボーグ化した老魔術師か?

純セガ・ハード三連星!!』

『風呂を愛し、風呂に愛され、風呂を憎白のボディに、赤と黒のライン。角ばったフォルム。

そして胸には輝く『FMむ者なり!』

『小娘よ! 貴様の風呂釜を、最新のプロセッサでオーバー SOUND』の文字。


「グオオオ……我が名は**ガンダルフ・マークIII**!」


電子クロックしてやるわァァァ!』


三人のメカジジイが合体し始めた。

アパート合成音声のような声!

排水溝から顔を出している初代ガンダルフ(オリジナル)が、あんぐりと口を開けたが粉々に砕け散り、そこから巨大な「可変式・全自動洗濯乾燥機能付きバスタブ。

「な、なんじゃアイツは!? わしの若い頃より角ばっておるぞ!?」


マークIII要塞」が組み上がっていく!


「ちょ、ちょっと待って! 私の家が! 敷金は、四角い杖(コントローラー)を掲げた。


「時代はアナログからデジタルへ!礼金が!!」


黒服の男が、わたしの肩をガシッと掴んだ。


「 癒やしは温もりから処理速度へ!

 この宇宙の全てを、8ビットの嘆いている暇はない。奴らを止められるのは、特異点の鍵(キー)である君だけだ」


男ドット絵に変えてやろうぞ!!」


「ドット絵!? いやだよそんなカクカクした人生はアタッシュケースから、虹色に輝くバスボムを取り出した。


「これを持って行け。最新!」


わたしの抗議など意に介さず、マークIIIの背後から、さらに巨大なパーツ兵器『ソニック・シャワー・ボム』だ」

「だから意味わかんないってば!!」


ズが転送されてきた。

黒くて平べったい、巨大な要塞ユニット。


「合体(ドドドドン!

オフィスの窓ガラスが割れ、合体した『メガ・ガンダルフ・ドッキング)シークエンス起動!」


マークIIIの体が折り畳まれ、要塞ユニットに突き刺さる。タワー』から放たれた温水ミサイルが飛び込んでくる。


「ヒャッハーー


「**パワーベース・コンバーター接続! マスターシステム、オン!!**」


ガシャン! ガシャン!! 会社ごときれいサッパリ洗い流してやるぜェェ!!」


わたしの日常は、 ギュイーン!

マークIIIが巨大な砲台へと変形した。

しかし、変形はそこで止戻ってこなかった。

それどころか、ハードウェア戦争の最前線に放り込まれてしまったのだ。


わたしまらない。

さらに漆黒の、流線型のボディを持つ超巨大戦艦がワープアウトしてきたのだは虹色のバスボムを握りしめ、叫んだ。

もはや、腹を括るしかない。

ボディには金色の文字で**『16-BIT』**と刻まれている。


鬼島課長が。


「上等じゃないのよ! セガでも任天堂でもかかってきなさい! 私の安、血走った目で叫んだ。

「ま、まさかあれは……黄金の時代を築いた黒らぎ(お風呂)を奪う奴は――」


わたしはヒールを脱ぎ捨て、窓き巨塔……!?」


マークIII(砲台モード)が、戦艦の上部にガッチリと枠に足をかけた。


**「全員まとめて、のぼせさせてやるッ!!!」**


(第7話へつづく)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る