慣れろ


 己のキーワードを「おっぱい」に定めたあの日から、私は来る日も来る日も脳内で「おっぱい」を連呼し続けた。


 嫌な客の相手を終わらせ「おっぱいおっぱい」


 貯金が増えないな「はいおっぱいお待ち」


 周りが家族の話をしていて「おっっっっぱーーーーい!」


 今日の夜はジ〇リか。小さい頃は「おっぱいがいっぱいコレクション!」



 もちろん最初は難しかった。叫ぶ余裕がなかったり、叫ぶことそのものを忘れて沈んで行ったり。瞬発力を鍛えるにも、まずは習慣化が先である。必要なのはとにかく継続力だった。



 これがなかなか難しい。ぐるぐる思考と「おっぱい」を紐づけるだけで、約半年ほどかかったと思う。忘れず「おっぱい」を想起できても、それがフラッシュバックを必ず打ち消せるかといえば、そうじゃない。


 いかな「おっぱい」のインパクトも、暗い気分に勝てない時がある。


 それでも私は続けた。少しずつ成果が出ているのが分かるからだ。

 「おっぱい」でぐるぐる思考を止められる、その実績を積み上げ続けるのだ。


 マザーテレサは正しい。思考はいつか習慣に繋がる。

 無理に意識せずとも脳内で「おっぱい」を叫び出すようになるまで、それほど長い年月は必要なかった。


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