またか。

ぐりんなん

第1話 またか

2016年 5月 24日 7時42分


「はぁはぁはぁ…またかよ…」


金縛りの様な感覚から目を覚まし僕はつぶやく


「ひろき、あけるよ。」


返事をする間もなく部屋の扉が空いた


「うなされとったけど、また金縛りかいね。

朝ごはんできてるから、たべ。」


「わかったばあちゃん。今行くよ。」


そう言って僕は頑張って体を起き上がらせ食卓へ向かう。

今日の朝ごはんは残り物の肉じゃが、鶏肉とピーマンの炒め物、白ご飯に豆腐の味噌汁だ。

今日は少し朝飯が豪華だ。


「いただきます。」


次のニュースです。

去年は漁獲量が減少傾向にあったタコですが

今年は去年と比べ2倍近く漁獲量が増加しています。また、今年のたこは身が…


ばぁちゃんがテレビを消す。


「なんか…ありがとばぁちゃん…」


「ええんよひろきが海嫌いなの知っとんやから。」


ご飯を食べているとばぁちゃんが口を開く


「今日は学校何時に終わるんや。ばぁちゃんまた迎えに行くで。」


「ありがと。じゃあ5時ぐらいにおねがい。」


「わかりました。 5時やね。」

「ばぁちゃん今日はまさのりの仏壇に線香あげてくるから先車乗っときね。」


「わかった。」


まさのりは僕の父だ。2年ほど前に水上バイクの事故で亡くなった。

海が嫌いな理由がこれだ。

僕の大切なものを奪ったから事故以来海が憎い。


車に乗って学校へ行く。


つくと校門の前に友達が待ってくれていた。

ぼくは

「いってくる!」

そう言って早々と車を降りた。


「おっは! 清水、教室まで一緒行こうぜ!」


僕の髪ををくしゃくしゃにしながら話しかけてくる。


「朝から髪はやめてくれ笑

せっかくセットしてきてるのに笑。」


そうは言いつつ、内心この高校生活が楽しい。

色々あったし、まだミミズとか言ってくるやついるけどちゃんと友達が支えてくれてる。




午後5時

学校のチャイムが鳴る


「清水、今日一緒に帰ろうぜ。」


「ごめん!今日ばあちゃん迎えに来るから。」


「じゃあまた校門まで一緒いくよ!」


「ありがと」


校門前にばあちゃんの車が見えた。


「じゃあ俺ここまで

また明日!」


「おう!また明日!」


そう言って俺は車に乗り込む。


「迎えありがとばぁちゃん!」


「ええんよ。ところで今日はちょっと寄りたいとこあるんやけどええかいな?」


「うん、いいよ。」


僕は返事をした。


車にゆられながら僕は海を見ながらため息をついていた。



「ため息なんかついたらあかん。いいことがにげるで。」


ばぁちゃんは後部座席をちらちら見ながら言った


「わかったよ。」


僕がそういい終わった時、

僕の体は強い衝撃に襲われた。

体は車から投げ出され全身を強く打った。


「…」


言葉も発せない。意識が朦朧とする中辛うじて動く目を必至に動かした。


視線の先には前方がぐしゃぐしゃになった僕んちの車があった。


僕の意識はそこでおわった。






2015年 5月24日 22時24分


「…続いてののニュースです。

本日〇〇県 〇〇町で発生した、トラックと軽自動車の衝突事故。この事故で運転していた清水サチコさん(85歳)はその場で死亡が確認されました。また、同じ車に乗っていた高校生の少年は衝撃で車外に投げ出されたとみられています。少年は近くの病院に搬送されましたが全身を強く打っていたため現在も意識が戻っておりません。また、車内から遺書と見られる物が発見され、 遺書には 孫の介護に疲れた。 と記されていたとの事です。警察は心中を測った可能性もあるとみて捜査を進めています。」













2016年 5月 24日 7時42分


「はぁはぁはぁ…またかよ…」

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またか。 ぐりんなん @uniuni12924

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