不完全復興《イルネっサンス》

　宏漠（こうばく）宇宙の一員である地碧洲（ヂ・アオス）は、或（あ）る時——卍（マンジ）官軍（かんぐん）Thank you for（サンキュウフォオ）…知己（ちき）運河（うんが）何回まわった時、些細（ささい）な過ちを犯した。そこで宇宙の最外殻（さいがいかく）に君臨する創作者（クリエイタァ）は、罰として、地碧洲（ヂ・アオス）から、その構成要素（コンポネント）同士を繋属（けいぞく）する最重要手段（インフラ）である、不（・）可視電磁気的情報伝達機構〈天霊波思惟（テレパシイ）〉を没収された。

　そういうわけで、本来なら三次元空間座標（ざひょう）的に離れ離れでも通じ合っていた地碧洲（ヂ・アオス）内の卍々（バンバン）万物（ばんぶつ）は、物理的な接触、あるいは音の波動や、光の波動（こちらは可（・）視（・）電磁気的だ！）のような波動の類（たぐい）の利用、のない限り、文字通り隔絶（かくぜつ）されることとなった。

　万物は〰︎〰︎〰︎

　その昼夜兼行（ちゅうやけんこう）だった対話活動を衰退し〰︎〰︎——

　互いに〰︎————

　分かり合えなくなっていった——————・・・•••…。

　地碧洲（ヂ・アオス）の、瓦解（がかい）した秩序!!!!!!!!

　暴徒（ぼうと）が建築を畳（たた）んでまわる、まわる........

　辛苦（しんく）生まれ、深紅（しんく）に埋まる、🔥sink....🩸∮¡∩i‹＿＿＿

　地碧洲（ヂ・アオス）は、嘗（かつ）ての、網脈（もうみゃく）が如（ごと）き繋属（けいぞく）の神秘を回復すべく、〈天霊波思惟（テレパシイ）〉の代替（だいたい）を、編（あ）み出すに至った。

　その代替というのは……

　　ꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮ

　ꙮインターネットꙮ

　　ꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮꙮ

　しかしそれは、過度に現象的で、解像度の低い、神秘的曖昧（あいまい）未明（みめい）さを度外視（どがいし）した、〈不完全復興（イルネっサンス）〉だった。

　ところでインターネットの抱える欠陥（けっかん）、そしてその影響は、数多（あまた）に及んだが、中でも劇的だったのは、地碧洲（ヂ・アオス）の構成要素のうち自称筆頭格（ひっとうかく）的存在の、非道（ヒ・ト）という輩（ヤカラ）の、老若（ろうにゃく）の、分断。

　インターネットは、その操作性ゆえに、多くの場合に、非道（ヒ・ト）の年配者によって拒絶された。

　非道（ヒ・ト）の若年コミュニティと老年コミュニティとは、漸次（ぜんじ）、悲しくも、ほとんどパラレルワールド同士の関係となっていった。

　かといって、老若がいつも交わらぬわけではない。

　同じ一つの地碧洲（ヂ・アオス）に住めば、どこかで相見（あいまみ）えるのが宿命。

　そしていかほどにインターネットするかはすなわち、いかほどに情報するかということ。

　情報格差は知の格差へ、知の格差は能の格差へ、格差は格差を呼んだ。

　無論格差というのは、〈〈〈金〉〉〉の流動だとか、塩類と水の奏でる]]]浸透圧（しんとうあつ）[[[だとか、温冷空気密度の詠（うた）う(((風)))だとか、と同じくして、平衡（バランス）を求める性（さが）がある。よって諸格差はついには蓋然（がいぜん）として、老若の腕っぷしの争いへと転進（てんしん）した。

　　　⚔️⚔️⚔️

　かくして〈天霊波思惟（テレパシイ）〉の不在は、どこぞやの種族のトゥルトゥル肌と皺皺（しわしわ）肌とを綯（な）い交（ま）ぜにし、仲良くズタズタの炸裂（さくれつ）に調理したわけであった。

　ところで、一つ気になることがある。

　地碧洲（ヂ・アオス）の犯した、些細（ささい）な過（あやま）ちとは、何だったのか。

　鳥瞰（タカ）みの見物者たる私

　創作者（クリエイタァ）が

　おゝ紫衣（しえ）紫陽花（しようか）

　実は地碧洲（ヂ・アオス）は、その構成要素たる非道（ヒ・ト）たちに、「地碧洲（ヂ・アオス）は球じゃなくて半球だし、自転も公転もしていない」などと大法螺（おおぼら）を吹いて球内（きゅうない）アナウンスするという、茶目（ちゃめ）っ気のある悪戯（いたずら）をしたのだった。

　ちなみに地碧洲（ヂ・アオス）のアナウンスを聞いた非道（ヒ・ト）は、それを天啓（てんけい）などと称していたらしい。

　まぁ、眞（ま）に受ける非道（ヒ・ト）も非道（ヒ・ト）で間抜けだが……

　兎（と）にも角（かく）にも、御愁傷様（オツカレ）である。

　　　〈了〉