雨の日待ち合わせ。
てらこぉ〜
第1話 雨の日の出会い
私は晴れの日が嫌いだ。
晴れの日には人の活動が盛んになる。散歩をしている人、ランニングをしている人、友達と公園で遊ぶ小中学生。それに加えて、日差しが目の奥を攻撃するかのように強くて眩しいし、いい事なんて一つもない。少なくとも、私にとっては不便だ。
今日はよりによって快晴だ。空を見ると目が麻痺してピクピクするほど天気がいい。
太陽も、「こっちを見ろ!!」と、言わんばかりに光を私に当てて主張してくる。
もう10月中旬というのにいまだに暑くて腹が立ってくる。
この天気をどうにか自分の手で帰られたらいいのに。
そんな厨二病っぽい事を頭の中で考えて妄想する。気がつけば、1時間目数学、2時間目社会、3時間目道徳、4時間目国語、5時間目英語と、地獄のような授業が次々と終わっていく。
あと1時間で下校。やっとだ。
6時間目は体育だ。授業の内容は2組のペアでストレッチ。
でも、私のペアは先生だ。毎回そうだ。
2組のペアを作れと言われて作れたことは一回も無い。
先生と組むのは正直なとこ嫌だ。周りの視線も痛い。
でも、組む人は先生以外にいないし、しょうがないと思う。
私は人とあまり合わせない性格だ。
いや、正確には人と合わせようとしない。
そんな性格だからだろうか、どんどん周りから人がいなくなって、最終的には一人。孤立する。
一人は楽だ。人と合わせる事も無いし…。
ストレッチをやり終えて、ステージの横にある時計をぼーっと見る。
授業が終わる五分前の時、ふと、窓から外を見る。
すると、小粒の雨が降っていた。久しぶりの雨だ。1ヶ月ぶりくらいだろう。
それを見て、私は一気に気分が上がった。まるで長年待ち望んでいた欲しい物が手にはいったかのように、胸がワクワクする。
放課後、私はスクールバッグの中に手持ち傘があるというのにも関わらず、傘をささずに小粒から大粒へと少しずつ変わる雨にうたれながら、弾む足を前へ前へと1歩ずつ歩いて帰る。気分がいいからか、足どりがとても軽い。
雨で、土とコンクリートが湿った匂い。雨の粒が一粒一粒地面に落ちていく音。
これが私は大好きだ。
雨はなんだか静かで、人の声も、人の影も見られる事が少なくなる。
なんだか、自分だけの世界のようで、自分がこの世の主人公になれた気がするんだ。
鼻歌を歌いながら、あえて人気の無い通学路を通っていく。
🎶❄•*¨✨•*¨*•.¸🌙✧*•.¸¸✨❄•*¨✨•*¨*•.¸🌙✧
すると、小さな公園がある方からブランコをこぐようなギーギーという音が聞こえてくる。今は雨が降っているから公園なんて誰も行かないはずなのに。
私は好奇心で、その公園に近づき、通りすがっただけのように横目でそこを見た。
視線の先には、ブランコをこいでいる小学五年生くらいの髪の毛が長くて綺麗な少女が、びしょ濡れでいた。
雨の日待ち合わせ。 てらこぉ〜 @terako_o43
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