メタ推理探偵と作者の過激な無茶振り
ツキシロ
メタ推理探偵と作者の過激な無茶振り
探偵事務所で、メタ推理探偵が声をかける。
「助手よ」
「なんですか?」
「今回もまた、事件が起きる」
「またまた、そんなわけ」
「今度は、R15だ」
「どういうことですか?」
「本作には残酷描写、暴力描写、性描写すべてが含まれる」
「ええ……?」
「作者がそう決めたからだ。旅館に行くぞ!」
「また旅館ですか!?」
「作者ももう少しミステリを勉強した方が良いかもな!」
2人は、旅館内をくまなく調べていた。
「……で、なんですか?これ」
「旅館の中で事件が起こるそうだからな。……む、この部屋、開かない……密室か!?」
「ただ鍵がかかっただけの客室ですよね?」
「この中で事件が起きている!作者がそう言っている!!」
探偵はハンマーを取り出して、客室扉に全力で叩きつけた。
「ええ!?そんなのいつ持ってきたんですか!!」
「テンポが遅いと読者が飽きるからな!」
扉が破壊されると、事切れた被害者が血だまりに横たわり、ナイフを持った加害者がこちらを見た。
「な、なんだお前たち……!?」
「うわっ!警察に通報しないと……!」
「ふむ。被害者の腹部からまろび出ているのは小腸か大腸といったところか?」
「こんな時に何言ってるんですか!」
「これで残酷描写はクリアだ」
騒ぎを聞きつけた人が次々と集まってくる。犯人は絶望した。
「ああ、終わった……」
「おい犯人!私と揉み合いをしろ!」
「何言ってんだ……?」
「暴力描写が必要なんだよ!くらえ!」
探偵が殴りかかると見せかけて、胸倉をつかむ。
「これ以上やると『警察は探偵も捕まえろ』と読者に突っ込まれるからな。これで暴力描写もクリアしたぞ」
「一方的すぎます!」
その後警察がやってきて、犯人は無事に連行された。
2人は事務所に戻ってきた。
「はあ、なんとかこれで解決ですね」
「いや、まだだ。性描写をしていない」
「えっ……!?でも私、あなたとなら……」
助手は手で顔を隠す。
「安心しろ!」
事務所のドアが勢いよく開くと、探偵の彼女が現れた。
「はーい、恋人の衝撃的な登場でーす」
「恋愛関係にない者と、軽率にそういう行為をするのは……現代では批判されるからな」
探偵は彼女のもとに駆け寄り、頬にキスをした。
「これで性描写クリアだ。読者サービスにもなろう」
「なんか複雑です!」
「いい反応だ。探偵に恋慕する助手というのも、読者需要があるからな」
探偵の彼女が、頬を赤らめて言う。
「読者サービスのためならわたし、なんでもできます!」
「よく分かっているじゃないか!」
「彼女さんも探偵さんみたいな人なんですね……先が思いやられます」
「それはシリーズ化するということか!?」
「もうなんでもいいです」
メタ推理探偵と作者の過激な無茶振り ツキシロ @tsuki902
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