第一章 成年-1
現在。
「
聞き慣れた声が、ぼんやりとしていた
顔を上げ、声の持ち主を見た。それは
「明日?」
「明日の放課後のことか?」
「ああ」
「いや、特には……寮で休むことしか考えてないんだが」
おそらく、その偶然のどれか一つでも欠けていれば、二人の友情はとっくに薄れていたであろう。
彼の適当な返答を聞いて、
「明日って、君の十八歳の誕生日だろ?祝ったりする気なかったんだ」
十八歳の誕生日。
彼にとって、人々が誕生日を祝うことに抱く熱意は、全く理解できるものではない。
「ただの誕生日だろ?」
それに、
しかし、だれの誕生日に関わらず平等に無関心な
だれかが高校生活で友人が一人しかできないのは至極当然で、まただれかが人気者になれるのも当然と言えば当然で、ということだろう。
「それはそうとして、十八歳の誕生日だぞ? 明日、未成年だった君は成人に変わるんだぞ。こんなに大きな身分変化、記念する価値は十分あるだろ」
「大袈裟すげだろ」
「そう言う
「うーん……」
「家族とご飯に行ったり、友達と遊びに行ったり、それとも恋人とデートしったりするのが普通じゃないかな」
「……」
こうして、
「やはり、寮で勉強しようっか」
「まあ、いいや。君の誕生日だし、好きにすればいいさ」
この話はもともと、数分間しかない休み時間を潰すために過ぎなかった。授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと、
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契約者たちの非日常 河葉夜 @gahaya
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