トロイメライ

後木 リクハ

プロローグ

――――駅の改札・・・繁華街、そして酔っ払い・・・

世間は明日の休みに浮かれお祭りムード。それに比べ私は――――


「いったい何をしてきたのだろうか・・・」


きしむ階段を一歩・・・そして一歩とあがり、自宅のドアをあける。


――――静まり返った部屋、たまった段ボール・・・そして少しの異臭。

ベッドに腰をおろし、テレビをつける――――


「・・・関税を10%・・・みょうが125年に・・・んの商品がなんと19っ・・・いてのニュースです。A市で起きた・・・」

(・・・くっそつまんねぇ)


テレビを消そうと、腰に力を入れる。しかし――――

(・・・?からだが・・・うごかない?・・・つかれてる・・・だ・・・け・・・)


それはまるで眠るようだった。意識が遠くなる感覚だけが襲ってくる。

・・・そして私は――――



――――知らない天井、無機質なベッド、そしてわずかの静寂

かすむ視界とはっきりしない意識の中で気づいた。


(・・・病院か・・・)

周りを見渡す。・・・ほとんど認識できない。覚醒後のためだろうか。

・・・少しの沈黙ののち、こちらに近づく足音・・・。


(・・・看護師・・・か?)


足音が私の隣で止まる。そして――――

「あ、おきてたのね。サク・・・ママですよ――――」


・・・思考に沈黙が流れる。・・・抱きかかえられていたのだ。


「――――ふふっ。なんかすごく神妙な顔してる・・・かわいい・・・」


かすむ視界で女性の顔を認識したとき・・・すべてを察した。

・・・私は人生を――――

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