「パルナッソスの戦乙女」第三章までの設定

 この物語は、世界を一変させた未曾有の現象「大覚醒」から十八年後の二〇五四年の日本を舞台に、個性豊かなたくさんのヒロインが織りなすSF学園異能バトル恋愛小説です。


 お待たせしました。

 お約束の「設定まとめ」でございます。


 今回も第三章までの内容でまとめているのですが……、


 VRゲーム『トルーパーズ・アイⅣ』の描写でESP関係の用語が大量に出てきたので、特にESP能力の説明部分を大幅に整理し直しました。


 また、別資料として、以下のファイルを公開しました。


 ・サイコトルーパーズ 公式競技規則書(ユース大会ルール)

 ・付録:サイコトルーパーズ U-18戦術教本

 ・付録:サイコトルーパーズ 公式アーマリーリスト(1)近接・投射武器

 ・付録:サイコトルーパーズ 公式アーマリーリスト(2)銃火器


 興味のある方はちらっとでも見てもらえると嬉しいです。

(ちなみに、読まなくても、ストーリー上は全然問題ないです!)


 あと、今回も、少しフライングしたり、本編では表現しきれなかった裏設定を書いています。


 物語と合わせて、お楽しみいただけると嬉しいです。



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一、世界観


【時代背景】


◎大覚醒(だいかくせい):二〇三六年十二月に起こった、人類史における特異点。これにより、世界中のほとんどすべての人類がテレパシーの受信能力に覚醒し、社会と人のあり方に不可逆的な変革をもたらした。


◎物語のはじまり:二〇五四年九月一日、二学期の初日(「大覚醒」からおよそ十八年後)


◎サイオポリス(隔離区域):未熟なESP能力者のための社会適応訓練機関を置く隔離区域。世界二十八カ所に設置されている。


◎精神情報化社会(サイコ・インフォメーション・ソサエティ):世界の主要各国が推進しているESPによる情報通信を社会のあらゆる基盤に統合した未来社会構想。日本では、特区指定されたサイオポリス自治府がその構想の実現のために研究開発や社会システムの構築という実験的な役割を担っている。


◎北部九州先端医療共同研究センター爆破テロ事件:二〇五四年八月三十一日(夏休みの最終日)に大分県の北部で発生した大規模爆発事件。ESP能力者や政府のPSI関連政策に反感を持つ組織によるテロの可能性が指摘されている。爆発による直接の被害者の他、事件に巻き込まれたESP能力者が発した強力なサイコノイズの影響で、死者を含む多数の被害者が出た。


◎『第二世代の衝撃』:二〇五三年の秋に出版されたベストセラー書籍。「大覚醒」後に生まれた読心能力を持つESP能力者(第二世代)が社会に出てくることへの警鐘を鳴らし、一般人の能力者への恐れや不信感を煽った。著者はSNSでも人気の実業家、堀川マサル。


◎プロジェクト采女(うねめ):サイオポリス自治府が進めている計画。クローン技術を用いて第六世代の中継能力者を生み出し、府民ESPネットワークの基盤構築を目指すもの。北部九州先端医療共同研究センター爆破事件の影響で、大幅な遅延と再調整が必要となった。事件により、生育中の第五世代能力者の個体の大半が失われたと思われたが、その後、二個体が生存していることが判明。彼女たちの処遇は百人委員会で議論され、府内の教育機関への受け入れが検討されている。

 ○府政改革プラン三・〇:サイオポリス自治府が掲げる中長期的な都市開発・行政改革計画の通称。「精神情報化社会」の実現に向けた多岐にわたる施策が盛り込まれたロードマップ。

 ○府民ESPネットワーク:サイオポリス自治府がすすめる府内の全住民を対象とした大規模なESP通信ネットワーク構想。 府民生活や行政サービスの向上など、社会のさらなる効率化を目的としている 。また、国策である「精神情報化社会」の実現に向けた壮大な社会実験としての側面も持つ。

 ○マルチプレクサー:ESPチャネル数を増やす分波装置。携帯可能なウェアラブルプレクサ―は、現状の技術では八分波(オクタプレクサー)まで。コントロールは比較的たやすく、訓練次第で常時使用可能。

 ○ラージスケールマルチプレクサー:八分波を超える分波性能を持つ大型のプレクサ―。能力者が本来持っているチャネル数を大幅に増やすことができる。

 ○ディクライン・ケージ:特定の区画(工場や研究室、学校の教室等)や乗り物の中などの閉鎖空間を、外部とのESP通信を一時的に遮断する装置。

 ○バイオリアクター:生物学的反応やプロセスを制御された環境下で行う装置。

 ○ニュークレアス・ダイナミクス社:カナダのバイオテクノロジー企業。

 ○クローン技術:特定の一個体と遺伝的に同一な別の個体(クローン)を人為的に生み出す技術の総称。

 ○二母性生殖(にぼせいせいしょく):二つの卵子を用いて新たな個体を発生させる生殖技術。これにより、雄性(父親)を介さずにメスのみで子孫を残すことが理論上可能となる。


◎大規模対象追跡支援システム(LTSS:エルティーエスエス):令和三十五年、サイオポリス府警察に導入されたESP能力者追跡システム。4台の大型プレクサー(各256分波対応)を連結し、トラッカー4名と中継者1名が協働運用することで、最大1024人のパッシブESPをリアルタイムで認識・追跡可能。ただし、オペレーターへの負荷から連続稼働は72時間、法的証拠能力は取得後48時間以内のデータに限定される。


◎サイコトルーパーズ:アメリカの民間軍事会社(PMC)であるスレイプニル・コーポレーションが考案したESP能力兵のための訓練プログラムを起源とした人気スポーツ。第十回記念大会となる二〇五四年のスプリームカップでは、競技人口の拡大とさらなる振興を目的として、中学一年生によるエキシビション・マッチが予定されている。また、最近では、競技のエンタメ性を高めるために、銃器よりも格闘戦が推奨されるようルールが調整が繰り返される傾向にある。特に、銃器の性能は大きく下方修正され、被照準時に攻撃手のパッシブESPが「バレットライン」という可視エフェクトの形で認識されるようになった。

 ○サイコトルーパーズ・スプリームカップ:世界中のトルーパーズファンが待望するサイコトルーパーズの大会の名称。 物語が始まる二〇五四年は、第十回記念大会が日本で開催される。

 ○PMC(ピー・エム・シー):民間軍事会社(Private Military Company)の略称。 国家の正規軍ではないが、軍事的なサービス(戦闘、兵站、訓練、警備など)を提供する企業のこと。代表的なPMCに、アメリカのスレイプニル・コーポレーションやロシアのオプリチニク・ソリューションズがある。非合法なミッションには、社員ではなく、傭兵を使うことも。


◎サイコトルーパーズのルールと武器カタログ:下記の別資料を参照。

 ○サイコトルーパーズ 公式競技規則書(ユース大会ルール)

 ○サイコトルーパーズ U-18戦術教本

 ○サイコトルーパーズ 公式アーマリーリスト(1)近接・投射武器

 ○サイコトルーパーズ 公式アーマリーリスト(2)銃火器


◎トルーパーズ・アイⅣ:人気スポーツ「サイコトルーパーズ」を題材にしたFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)。リアルな戦闘描写や、プロ選手のパラメータを取り込んだチーム編成、架空チームでの経営モードなどが特徴。アメリカのラリー・エンターテインメント社が開発した。

 ○アカウントと操作:プレーヤーのスマホに登録された「波紋」で自動的にアカウントが作成される。コントローラによる操作の他、POSコマンドでの操作も可能。

 ○武器:プレーヤーのESP能力値を反映したポイントを消費し、武器を選択・カスタマイズする。実際のサイコトルーパーズ競技の武器選択システムに準拠している。

 ○ESP能力:事前に能力を登録し、対応するショートカットコマンドで使用する。システム上の問題でデジタルで再現できない能力は、代替効果で表現されている(例:幻痛=HP減少など)。


◎ESPAL(エスパル):サイオポリスの学校で初等部五学年から導入されるESPを使った学習補助ツール。概念の理解や知識の定着に使われるが、訓練生個人との相性問題がある。ナレッジベースにインストールされたコモンセンス(一般常識)は必要に応じて更新される。

 ○ナレッジベース:ESPALに組み込まれている標準知データベースユニット。実体はヒトの脳組織(培養脳や献体)であり、ソーシャル器官も備え、性別も存在する。

 ○ブレイノウェア:人間の幹細胞を基に作られた脳オルガノイドを利用したバイオコンピュータ。ナレッジベースがこれに類するものであるとヨミが推測。


◎サーベイランス:精神情報化社会における人権擁護とESP技術の健全な発展を目的に設立された民間組織。強力な調査能力と資金力、そして国内外に連携組織を持つとされる 。正式名称は「サイコ・インフォメーション・ソサエティ・サーベイランス(PISS)」。百人委員会の委員でもある赤尾十三が代表をつとめる。

 ○主な活動内容

 ・ESPの使用に関する独自の倫理的ガイドラインを策定し国民と共有することで、能力を利用した不正行為や社会への悪質な干渉を防ぎ、個人のプライバシーと精神的自由を確保すること。

 ・政府や行政機関が新たに策定する超能力関連法案、社会的システム、最先端の超能力研究(向精神薬開発や先端医療含む)の内容とその影響を常に評価・公表し、精神情報化社会の健全な発展に寄与すること。



【小説舞台】


◎サイオポリス自治府:日本国が設置したサイオポリス。神奈川県相模湾に浮かぶ巨大な人工島で、四十八番目の包括的地方公共団体となっている。東西約14.6km、南北約11.4km、面積約101.5平方km、周囲約44.3km。府全体がPSI特区に指定されている。約十八万五千人が暮らし、うち約六万六千人が訓練を受けている児童生徒及び学生。外部とのESP通信はディクラインシールドによって遮断されている。


 ○行政区:第一学区から第十六学区という十六の行政区に分かれている。

 ・第一学区(ターミナル):サイオポリス駅がある交通拠点。

 ・第三学区:柚葉たちが暮らしている。鳳鳴学園がある。

 ・第七学区(セントラル):府庁所在地、星読みの塔が目印。

 ・第九学区(ベイエリア):港がある。

 ・第十四学区(モールハウス):ショッピング街。


 ○通貨:府内で流通している電子マネー。二つとも一単位あたり日本円の一円。

 ・フードポイント(FP):訓練生に毎月支給される特別な通貨。学校や登録店舗での飲食や食品購入にのみ使うことができる。PPへの換金は不可。

 ・ペイメント(PP):訓練生に毎月支給される府内の標準通貨。全てのモノやサービスの購入に使用可能。「おこづかい」とも呼ばれる。


 ○交通機関:外からの交通は陸路と海路の二つがある。

 ・モノレール:主要交通手段。本土とはJR小田原駅で接続されている。

 ・ジェットフォイル:本土との海上交通手段 。第九学区に発着港がある。

 ・自動車専用道路:本土と繋がる貨物輸送及び緊急用道路。一般人は利用不可。


 ○百人委員会(ケントリア):サイオポリス自治府の議決機関。法人・団体代表が過半数を占め、委員会の発言力は通常の地方議会よりも強い。

 ・公選委員32名

 ・法人・団体代表委員56名

 ・有識者委員12名(府知事から委嘱)


 ○ディクライン・シールド:サイオポリス全体を覆い、外部とのESP通信をほぼ完全に遮断している電磁的なシールド。府内にある十六本の制御塔によって生成されている。夜間は、わずかに白い光を帯びて見える。減衰シールドとも。

 ・星読みの塔:第七学区にある最も高い制御塔。最上部はシールドの外にあるため、夜は星を見ることができる。


◎PSI特区:ESP能力者の育成や、PSI(超能力)関連技術・産業の振興を国家戦略レベルで推進するために設けられた特別行政区域。

 ○特区指定によって認められた従来法規制からの特例措置。

 ・教育機関の敷地内への営利企業の研究施設併設許可。

 ・脳神経医療やサイ工学技術に関する試験的な臨床応用や社会実験の認可。

 ・ESP関連の医薬品やインプラントデバイス開発における研究開発、治験、承認審査に至るまでの公的資金助成や法的手続きの優遇。

 ・学校や企業・団体にも、府政への参政権が認められている、……など。


◎学校法人 鳳鳴学園(ほうめいがくえん):主人公の柚葉たちが通っている小中高一貫教育校。学習・訓練の目的は、未熟な能力者のノイズを低滅させ、EN比を上げること。運営母体は、巨大企業の鳴神ホールディングス。

 ○適応訓練メソッド:グルジェフ・ワークを現代的に体系化したもの。

 ○訓練教科:ESP概論、ESP演習Ⅰ(制御)、ESP演習Ⅱ(能力開発)の三科目があり、一般教科より多くの時間が割かれている。

 ○瞑想:いわゆる瞑想。ESP演習Ⅰの授業の中で行われる。

 ・結跏趺坐(けっかふざ):坐禅や瞑想の際の正式な座り方。両足を反対側の太ももの付け根に乗せる座法で、長時間の座禅に適しているとされる。

 ・半跏趺坐(はんかふざ):坐禅や瞑想の際の座り方の一つ。片方の足の甲のみを反対側の太ももの付け根に乗せる座法。結跏趺坐が難しい場合の代替手段。

 ・胡座(あぐら):一般的な座り方の一つで、両足を体の前で組むもの。前述の座法が困難な場合の代替手段。初心者が瞑想に集中するのに優れている。

 ・魔境:禅や瞑想などで中途半端な覚醒をした際に現れる幻覚のこと。

 ○神聖舞踏(ムーブメンツ):グルジェフ・ワークの中心的な訓練方法。


 ○ゲオルギイ・グルジェフ:二十世紀の神秘思想家。人間が覚醒に至る方法として、第四の道を唱えた。

 ・第四の道:グルジェフの提唱した覚醒に至るための道。「超人に至る道」とも。鳳鳴学園の適応訓練メソッドの基盤となっている。

 ・エニアグラム:九つの点と線で構成された幾何学図形。20世紀の神秘思想家G.I.グルジェフが宇宙の法則を象徴するものとして重視し、西洋に広めた。作中では、鳳鳴学園のESP演習Ⅰにおいて、瞑想時の観想対象とされている。


 ○銀繍祭(ぎんしゅうさい):鳳鳴学園の学園祭の名称。「鳳式」に用いられる銀の糸で美しい刺繍のような人と人とのつながりを作るという意味が込められている。


 ○慶雲寮(けいうんりょう):鳳鳴学園中・高等部の女子寮。

 ○蒼穹寮(そうきゅうりょう): 鳳鳴学園中・高等部の男子寮。


◎学院さん:国立PSI総合学院のこと。サイオポリス唯一の国立教育機関。多方面にわたるPSI研究と基礎教育を展開。義務教育の段階から、兵科クラスを設置していることから、一部の教育関係者や生徒・学生からは否定的な感情で「学院」と呼び捨てにされることもある。


◎清和純心学園:第四学区にあるキリスト教系の女学校。


◎学校法人結城学園:医療・ヘルス事業を柱とする「結城製薬グループ」が運営する私立学校。


◎ホテル・ビジョン・ケントリア:サイオポリス自治府議事堂の向かいに建つビジネスホテル。

 ○カフェ「Rhythm & Beans」:ホテル・ビジョン・ケントリア内のカフェ。コーヒーの甘い香りとロック音楽が特徴。


◎ANY TV(エニィ・ティービー):A_あなたの N_ニーズに Y_寄り添う TV_テレビ。サイオポリス自治府にある唯一の民放テレビ局。代表取締役は看板アナウンサーを兼ねている三田村夜空。



二、主要登場人物


◎勾坂 柚葉(こうさか ゆずは)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組、剣道部

 容姿:ショートボブの黒髪、前髪の間からのぞく広めのおでこが印象的な少女。

 性格:活発で剣道好き、友だち思いだが大雑把な一面も。朝に弱い。ジャンクフード好きの食いしん坊。人前で話すのは苦手。

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 特技:剣道(夏の全国大会個人二位)。

 備考:ナギとサイコメイト。ESPランクはC(目標はBランク)。幼い弟のナオくんにぞっこん。瞑想中に自身の内面と向き合い、強くなりたいと願う体験をする。ESPALとの相性が悪く、実力テストで赤点を多数取る。放課後の補習とナギ・ヨミとの勉強会が決定。和奏救出作戦では幹彦と共闘。高知県出身。


 ○ゲーム脳:柚葉の思考や行動に見られるレトロな格ゲーのロジック。本人は至って真剣だが、その発想が仲間を呆れさせたり、和ませたり、思わぬ解決の糸口になったりする。仲間内での愛称として使われることも。

 ○サムライスピリッツ:柚葉が愛してやまないレトロな格ゲー。柚葉の「ゲーム脳」を形成する最重要要素の一つ。

 ・覇王丸様:サムライスピリッツに登場するゲームのキャラクター。他に、ナコルルやシャルロットちゃんもいる。

 ・キャンセル技:格ゲーにおいて通常技や特定の動作を中断して、次の技や行動に即座に移行するテクニック。柚葉が夢の中で使う物理法則を無視したムーブ。

 ○タコ焼き殺しの刑:柚葉が夢の中で妄想した崩紫流闘術の秘奥義。頬っぺを嫌というほどつねる。

 ○剣道:古来からの剣術をルーツとする日本の伝統武道。相手の定められた部位を打ったり突いたりして勝敗を決める競技。

 ・竹刀(さぶなな):一般的な長さ(三尺七寸)の竹刀の略称。

 ・切り返し:剣道の基本的な稽古方法。正面打ちと左右連続面打ちを組み合わせて行う。

 ・約束稽古:剣道の稽古方法の一つ。技を出す側(掛かり手)と受ける側(元立ち)があらかじめ特定の技や攻防のパターンを決めて行う。

 ・掛かり稽古:剣道の稽古方法の一つ。掛かり手が休むことなく元立ちに連続して技を打ち込み、気力、体力、集中力、そして技を出す機会を見極める能力などを極限まで追い込んで鍛える。

 ・地稽古:剣道の稽古方法の一つで、互角稽古とも呼ばれる。試合のように勝敗を決めず、互いに自由に技を出し合い、日頃の稽古で培った技術や精神力を総合的に試す実戦的な練習。

 ・元立ち(もとだち):剣道の稽古において、相手の技を受ける役割の人。

 ・掛かり手(かかりて):剣道の稽古において、元立ちに対して積極的に技を仕掛けていく役割の人。

 ○膝抜き(ひざぬき):古武術に多く見られる身体操作技術。膝の力を瞬間的に抜き、重心をスムーズに移動させたり、体幹からの力を効率よく伝えたりして、素早く威力のある動きを生み出す。


◎崩紫 一女(なぎしば いちじょ) / 通称:ナギ

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組

 容姿:意志の強そうな眉と黒髪が特徴の超絶和風美少女。髪に編み込んだ青いリボンがトレードマーク。

 性格:冷静沈着で、戦闘時は冷徹な一面も持つ。柚葉の世話を焼くこともある。和菓子とお茶会を好む。マイボトルに温かい緑茶を持参している。

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 特技:崩紫流闘術の正統後継者で、圧倒的な戦闘能力を誇る。

 備考:柚葉とサイコメイト。ESPランクはS。実家は崩紫流合氣会の道場を営んでいる。祖父は崩紫鉄山。クラブには所属しておらず、学園から自主トレーニングを認められている。柚葉の追試対策に協力。幹彦との協力を「交換条件」ではなく「相互協力」として再定義しようとする。千葉県鎌ヶ谷市出身。


 ○崩紫流闘術 (なぎしばりゅうとうじゅつ):ナギが継承する格闘術。闘氣と合氣の二系統の技がある。柚葉曰く「人類で二番目に強いデンジャラスな格闘術」であり、ナギが「人形の災厄」と称される所以。物語冒頭の柚葉の夢の中では『魔踏(まとう)』『穿指(せんし)』などの技が登場した。

 ・搦め一教(からめいっきょう):崩紫流合氣の一つ。合気道の基本技「一教」の鉄ジイアレンジ。和奏救出の際、青ガミの制圧に柚葉が使用。

 ・操骨(そうこつ):崩紫流闘氣の一つ。相手の頚椎を操り、動きを封じる技。和奏救出の際、丸メガネの制圧にナギが使用。

 ○帰宅部組:鳳鳴学園において、特定の部活動に所属せず、いわゆる「帰宅部」の状態にある生徒の中でも、学園からその能力や状況に応じて自主的なトレーニングを行うことを選択・許可された訓練生を指す呼称。既存の部活動の枠では効果的な訓練が見込めないほど特別な才能を持つと学園が認めた証でもある。


◎御巫 こよみ(みかなぎ こよみ) / 通称:ヨミ

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組(クラス委員長)、弓道部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:夏希とサイコメイト。ESPランクはA。学業成績は学年トップだが、演習系の授業が苦手。クラノフ・ミクリナ症候群という脳神経系の持病がある。初等部五年生の時に鳳鳴学園に転校してきた。クラシックピアノを習っていた経験あり。柚葉の追試対策に協力。大分県宇佐市出身。


 ○クラノフ・ミクリナ症候群:ソーシャル器官ESP基幹細胞群の非回帰性異常興奮が原因の希少な脳疾患。慢性的な頭痛や睡眠障害、脱力発作などを引き起こす。薬物による対症療法で進行を抑えるが、劇症化するとESPスコアが急増、同時に症状も悪化して最終的に病変部の細胞死(アポトーシス)を経て深昏睡に陥る。病名は最初の患者マルティン・クラノフと、報告者で恋人の医師レギーナ・ミクリナに由来。

 ○マルティン・メレンチェヴィチ・クラノフ:第一世代最強と謳われたロシアのESP能力者。驚異的なESPスコアで2041年に月面へのテレパシー送信に成功するも、その直後から体調が悪化し昏睡状態に陥った。


◎桐島 夏希(きりしま なつき) / 通称:夏希

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組、創作ダンス部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 ・系統1-LV3:読心(表層限定)<リーディング・マインド>

 ・系統1-LV3派生:領域侵入<トレスパス>

 ・系統1-LV4:中継<サイココネクト>

 備考:学年に三人しかいない中継能力者の一人。ヨミとサイコメイト。ESPランクはE。特有のサイコノイズ「ナツキノイズ」を発する。非常に高いESPスコアを持つが、ノイズスコアも極めて大きいためEN比は低い。小学校入学以前からESP障害のためサイオポリスの児童保護施設にいた。学校と友だちが大好き。初等科の黙想の授業中に、人とつながりたいと強く願った結果、中継能力が覚醒した経験を持つ。ESPALとの相性が悪く、タマちゃん先生らとの面接中に有害なサイコノイズを漏出。保健管理センターで六時間の経過観察となる。大分県杵築市出身。


 ○ナツキノイズ:桐島夏希が発する特殊なサイコノイズ。基本的に人畜無害で、受信者には顔文字のように認識される。

 ○「チャオ」:夏希に中継能力の発動をお願いする際の合言葉。


◎里村 和奏(さとむら わかな)/ 通称:和奏ちゃん

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組(二学期からの転校生)

 性格:おとなしそうに見えるが、芯の強さを感じさせる。

 ESP能力:

 ・系統3-LV2派生:音振共感<エモーショナル・リゾナンス>

 特技:ギター(前の学校ではロックバンドを組んでいた)。

 備考:ESPランクはD。市制百周年記念の音楽イベントで演奏中にESPが突発的に発現し、サイオポリスへ転入となる。人気ロックバンド「オリュンポス」のギタリスト里村玲司(レイ)の実妹。POS操作はまだできない。高等部の不良生徒にトレスパス目的で連れ去られるが、柚葉たちに救出される。今週末に慶雲寮に入る予定。千葉県習志野市出身。


 ○ブラッドレッドノヴァ:和奏が外の学校で組んでいたロックバンド名。

 ○半強制激情想起型:和奏の音振共感能力のタイプ。

 ○精霊たちの輪舞(ニンフズ・ロンド):和奏の音振共感能力に伴うユニークエフェクト。

 ○レッド・ツェッペリン:1960~80年代に活躍したイギリスのロックバンド。


◎椎迫 塔子(しいさこ とうこ)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組 、剣道部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:ムードメーカー的な存在。和奏救出作戦では情報収集や連絡役として貢献。柚葉と夏希のESPAL不適合問題について心配する。柚葉をめぐる恋バナで、みのりと盛り上がる。


◎爪木崎 みのり(つめきざき みのり)

 所属:鳳鳴学園中等部一年二組、剣道部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:塔子の友人で剣道部随一の恋バナおたく。和奏救出の際、柚葉と幹彦が共闘したエピソードから想像を膨らませて、恋愛相関図を作成。


◎川端 亜希子(かわばた あきこ)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組、演劇サークル。

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:クラスの女子グループのリーダー的存在。オリュンポスのファンで、和奏がレイの妹であるという事実に興奮中。


◎織姫 のどか(おりひめ のどか)

 所属:鳳鳴学園中等部一年四組

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 ・系統1-LV3:読心(表層限定)<リーディング・マインド>

 ・系統1-LV3派生:領域侵入<トレスパス>

 ・系統1-LV4:中継<サイココネクト>

 備考:学年に三人しかいない中継能力者の一人。大人しい性格。和奏の救出に協力しようとするが、和奏と面識がなかったため断念。


◎東雲 友里(しののめ ゆり)

 所属:鳳鳴学園中等部一年二組

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:里村和奏が高等部の生徒に連れ去られるのを目撃し、その情報を柚葉や塔子に提供した。和奏の歓迎会にも招待される。


◎西園寺 幹彦(さいおんじ みきひこ)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組、ライフル射撃部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 ・系統1-LV3:読心(表層限定)<リーディング・マインド>

 ・系統1-LV3派生:領域侵入<トレスパス>

 ・系統1-LV4:中継<サイココネクト>

 ・系統1-LV5:認識共有能力<パーセプション・ネクサス>

 ・系統3-LV1:感覚干渉<センソリー・インターフェレンス>

 ・系統3-LV1派生:幻痛<ファントム・ペイン>

 性格:自信家でプライドが高く、夏希に絡むなどの問題行動が多い。

 備考:学年に三人しかいない中継能力者の一人。サイコトルーパーズのエキシビション・マッチ出場を目指しており、法水学園長からチームメンバー候補を提示される。和奏救出エピソードでは柚葉たちに協力し、自身の能力を駆使して貢献。


 ○マークスマン:選抜射手とも。中距離にいる標的に対して正確な攻撃を加えられる射撃スキルを持った兵士のこと。一般の歩兵と狙撃手の中間の存在。

 ・マークスマン・ライフル:略称=DMR。弾道学的におよそ500メートルの有効な射程と精度を持ち、7.62x51mm NATO弾や7.62x54mm Rなどのやや強力な弾丸を使用するものが多い。専用に設計されたモデルもあるが、バトルライフルをベースとして作られたものも多く、M14、FN FAL、H&K G3、H&K HK417などの大口径の小銃がよく利用される。


 ○西園寺幹彦の兵装:トルーパーズ・アイⅣの中での選択武器及び装備品。

 ・H&K HK417(ランクA / 攻撃力78 / 装弾数20 / AP85)× 1

 ・ライフル弾[バトルライフル用](ランクC / 数量20 / AP12)× 2

 ・CZ 75B(ランクC / 攻撃力18 / 装弾数16 / AP36)× 1

 ・メディキット(ランクD / 数量1 / AP8)× 1


◎葛城 航(かつらぎ わたる) / 通称:ワタル

 所属:鳳鳴学園中等部一年四組、剣道部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:柚葉に告白してフラれた過去がある。剣道の実力は柚葉と拮抗。認識操作系能力のESPを持つ可能性が示唆されている。柚葉と幹彦の関係を誤解するが、後に幹彦から真相を聞き和解、サイコトルーパーズのチームへの参加を快諾する。サイコトルーパーズのルールには疎い。


 ○葛城航の兵装:トルーパーズ・アイⅣの中での選択武器及び装備品。

 ・打刀(ランクC / 攻撃力65 / AP68)× 1

 ・脇差(ランクD / 攻撃力35 / AP35)× 1

 ・メディキット(ランクD / 数量1 / AP8)× 1(柚葉用)


◎卜部 斗真(うらべ とうま)

 所属:鳳鳴学園中等部一年一組

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:クラブには所属していない、いわゆる「帰宅部組」の訓練生。サイコトルーパーズのエキシビション・マッチについて、法水学園長からチームメンバー候補として推挙される。


◎殿畑 恋太(とのはた れんた)

 所属:鳳鳴学園中等部一年四組

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:サイコトルーパーズのエキシビション・マッチについて、法水学園長からチームメンバー候補として推挙される。


◎工藤 六郎(くどう ろくろう)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組、ライフル射撃部

 ESP能力:

 ・系統1-LV1:発信(全体)<マス・テレパシー>

 ・系統1-LV2:発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>

 備考:西園寺幹彦とつるんでいる男子生徒。エキストラ。


◎釘宮 幸大(くぎみや ゆきひろ)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組。


◎晃司(こうじ)

 所属:鳳鳴学園中等部一年三組。

 備考:お調子者の男子生徒。


◎勇征(ゆうせい)

 所属:鳳鳴学園中等部一年二組。

 備考:一学期に柚葉に告白したもう一人の男子。みのりからは、恋愛ドラマ的にモブ扱いと言われる。


◎三枝 舞(さえぐさ まい)

 所属:鳳鳴学園中等部三年、女子剣道部

 備考:柚葉を可愛がっている。和奏の歓迎会に招待される。


◎敷島(しきしま)先輩

 所属:鳳鳴学園中等部三年、剣道部部長

 備考:藪沢先生不在時に稽古を仕切るなど、リーダーシップを発揮する。柚葉の早退を快く許可するなど、後輩への理解がある。


◎谷口(たにぐち)先輩

 所属:鳳鳴学園中等部三年、剣道部

 特記事項:柚葉が実力を認める格上の剣士の一人。夏休み明けの地稽古では柚葉の頑張りを評価する発言をしている。


◎三崎(みさき)先輩

 所属:鳳鳴学園中等部二年、剣道部

 特記事項:柚葉が実力を認める格上の剣士の一人。柚葉とは剣の相性が最悪とされている。


◎高等部の三人組:

 ○丸メガネ:リーダー格の男。本名は、サカマキ。

  所属:鳳鳴学園高等部三年生

  備考:和奏のレアESP『音振共感』を奪うため、和奏をトレスパス目的で誘拐。最終的にナギの『操骨』によって制圧される。

 ○青ガミ:後頭部の一部の髪を青っぽく染めている男。

  所属:鳳鳴学園高等部三年生

  備考:和奏誘拐の実行犯の一人。柚葉の『搦め一教』で制圧されたあと、幹彦の『幻痛』を股間に受けて失神、その後失禁した。

 ○茶デブ:明るい茶髪で太っている男。

  所属:鳳鳴学園高等部三年生

  備考:和奏誘拐の実行犯の一人。幹彦の『幻痛』の三連射を股間に受けた。


◎相沢 珠代(あいざわ たまよ) / 通称:タマちゃん先生

 所属:鳳鳴学園の教師(一年三組の担任)。担当教科は、社会科とESP概論。

 備考:のんびり屋で童顔。「テストの前のおやくそく」という定期試験前の標語を気に入っている。真城倫の親友。柚葉と夏希のESPAL不適合問題に対し、補習授業などの学習計画を提示。


◎真城 倫(ましろ りん) / 通称:リン子先生(リン先生から変化)

 所属:鳳鳴学園保健管理センターの学校医。

 備考:ESP障害医療の専門家。ヨミの主治医でもある。相沢珠代の親友。ESPALのナレッジベースがヒトの脳組織を利用していることを明かす。ヨミと夏希のサイコメイト関係を認め、あたたかく祝福する。


◎藪沢 みらい(やぶさわ みらい)

 所属:鳳鳴学園の教師。担当教科は、体育科とESP演習Ⅱ。剣道部の顧問。

 備考:かつて、日本剣道界で無敵を誇った伝説の剣士。長身の麗人。


◎早乙女 翔子(さおとめ しょうこ)

 所属:鳳鳴学園の教師。担当教科は、ESP演習Ⅰ。創作ダンス部の顧問。

 備考:桐島夏希に目をかけている。


◎勝俣(かつまた)先生

 所属:鳳鳴学園中等部の体育教師(柚葉たちが初等部五年生当時)

 備考:柔道の有段者。初等部の柔道の授業で、当時初等部五年生だったナギに格闘技としての柔道の強さを示そうとし、わずか数秒で三度も床に叩きつけられた。


◎黒仁田 薫子(くろにた かおるこ)

 所属:鳳鳴学園慶雲寮の寮母。


◎法水 惟親(のりみず これちか)

 所属:学校法人鳳鳴学園の学園長。百人委員会委員。

 備考:鳴神顕の指示を受け、采女検体の入手を請け負う。長谷川を操り、西園寺幹彦を中心にしたサイコトルーパーズの強力チームを作らせようと画策。


◎長谷川(はせがわ)先生

 所属:鳳鳴学園中等部一学年の学年主任。

 備考:法水学園長の側近。感応者(能力者ではない)。他の教員や訓練生を貶めて地位を得たという噂がある。


◎諸塚 茜(もろづか あかね)

 所属:学校法人聖盾学園中等部一年

 備考:柚葉が剣道の全国大会で戦い敗れた相手。


◎御子神 有栖(みこがみ ありす)

 所属:清和純心学園中等部二年、ロックバンド『A-LICE』

 備考:『音振共感<エモーショナル・リゾナンス>』を持つサイオポリスのアイドル。「オリュンポス」の御子神紫音の実妹。


◎オリュンポス:メンバー全員が『音振共感<エモーショナル・リゾナンス>』を持つ人気アイドルバンド。

 ○藤川 榛名(ふじかわ はるな) / 通称:ハルナ

  備考:ボーカルで、実質的なリーダー。

 ○里村 玲司(さとむら れいじ) / 通称:レイ

  備考:ギター、里村和奏の実兄。

 ○御子神 紫音(みこがみ しおん) / 通称:シオン

  備考:キーボード、御子神有栖の実姉。


◎鳴神 顕(なるかみ あきら)

 所属:学校法人鳳鳴学園大学サイ工学部教授。百人委員会委員(府民ESPネットワーク構築推進部会長) 。

 備考:鳴神ホールディングスの御曹司。先行覚醒者の秘密結社アウロラの七賢の一人。プロジェクト采女を推進する立場。北部九州の事件でプロジェクト采女のクローン生体の大半が失われたことを報告。その後、法水惟親にESPALのコモンセンス更新(サーベイランスをテロ集団と刷り込む内容)を指示する。


◎赤尾 十三(あかお じゅうぞう)

 所属:サイコ・インフォメーション・ソサエティ・サーベイランス代表。百人委員会委員。

 備考:プロジェクト采女に関して、鳴神顕と対立する。北部九州先端医療共同研究センター爆破事件とプロジェクト采女の関連を追及する。前職は人権派の弁護士。


◎結城 万寿子(ゆうき ますこ)

 所属:学校法人結城学園理事長 。百人委員会委員 。


◎三田村 夜空(みたむら よぞら)

 所属:ANY TV代表取締役アナウンサー 。百人委員会委員 。

 備考:サイコトルーパーズのエキシビション・マッチの実況に並々ならぬ意欲をみせる 。


◎樒原 長月(しきみばる ながつき)

 所属:百人委員会委員(委員長)。サイオポリス自治府副知事。アウロラの幹部構成員だが、鳴神顕と反目し合っているような行動をとる。


◎崩紫 鉄山(なぎしば てつざん) / 通称:鉄ジイ

 所属:崩紫流合氣会道場主。

 備考:人類最強とされる武闘家。ナギの祖父で、毎年、夏休みや冬休みに柚葉に武術指導を行っている。


◎天王寺 海斗(てんのうじ かいと)

 所属:鳴神トランスセンダーズ(サイコトルーパーズのプロチーム)

 ESP能力:

 ・系統3-LV2派生:行動抑制<アクション・インヒビション>

 備考:昨年のスプリーム・カップの決勝戦で、大逆転劇を演じたスター選手。


三、用語集


◎能力者:ESP能力を使える人たちのこと。

 ○サイコメイト:柚葉とナギ 、ヨミと夏希が結んでいる特別な絆。意識的なESP回線接続なしに円滑なテレパシー疎通が可能となる。

 ○先行覚醒者:大覚醒以前から覚醒していた能力者。秘密結社アウロラを組織し、人類を導いてきたとされる。

 ・アウロラ:先行覚醒者たちによる秘密結社。七賢と呼ばれる七人の最高幹部を中心に世界中に多くの構成員を有する。 最高位は「星読み」と呼ばれる人物。


◎感応者:ESP能力を自ら発信することはできないが、他者のテレパシーやサイコノイズなどを受信することは可能な人たち。作中では「いわゆる普通の人たち」と表現されている。


◎サイコノイズ:ESP能力者の感情の高まりや乱れによって、テレパシーに混入したり、単独で発信される判読不能な情報。受信者の精神に悪影響を及ぼす。


◎ブロードマンの脳地図:二十世紀初頭にドイツの神経学者コルビニアン・ブロードマンが提唱した、ヒトの大脳皮質を細胞構築学的な違いに基づいて約50の領域に分類したもの。各領域は「ブロードマン野」と呼ばれ、番号で示される。当初は構造的な分類だったが、後にそれぞれの領域が特定の脳機能と関連していることが判明し、脳機能局在論の基礎の一つとなった。

 ○十一野:ブロードマン野の一つ。 「ソーシャル器官=直回」は、この十一野の一部にあたる。

 ○二十二野:ブロードマン野の一つ。 主に「上側頭回」に位置し、言語理解に関わるウェルニッケ野の一部を含むとされる。

 ○四十四野:ブロードマン野の一つ。 主に「下前頭回の弁蓋部」に位置し、言語の発話に関わるブローカ野の一部を含むとされる。


◎脳機能局在論:特定の精神機能が、脳の特定の部位によって担われているとする考え方。 ブロードマンの脳地図は、この考え方を支持する重要な根拠の一つとなっている。


◎ソーシャル器官:ヒトのESP能力を司る脳組織で、ブロードマン脳地図では十一野の一部「直回」にあたる。大覚醒以降、ほとんどすべての人類の脳で活性化が確認された。ESP基幹細胞群(送受信強度・チャネル数関連)、能力決定フィールド(ESPの種類・個性決定)、シグネチャーセンサ(個人識別情報「波紋」認識)の三つの部分からなり、互いに協働していることから、新しく「器官」として定義された。


◎直回(ちょっかい) / (Gyrus Rectus:ジャイラス・レクタス):大脳の前頭葉下面の内側部に位置する脳回の一部。もともと働きがわからなかった脳の一部だが、大覚醒以降、人類が獲得したESP能力に深く関わっていることが判明した。


◎GRe活性測定:ソーシャル器官=直回(Gyrus Rectus)の活性状況を調べる検査。ESP能力者の選別(スクリーニング)に用いられる。

 ○就学時健康診断:日本の教育制度に基づき、昭和時代の昔から小学校入学前の子どもたちに対して行われてきた健康診断。「大覚醒」以降、この健康診断の項目に「GRe活性測定」が導入された 。


◎ESP:「大覚醒」により多くの人類が発現した能力の総称。現在、「情報伝達・共有能力」「情報操作能力」「認識操作能力」「生体制御能力」「精神感応能力」の五系統に分かれている。ソーシャル器官の活性化によって発現する。能力を使えば使うほど、同じ系統にある能力のパワーやレベルが上がっていく。 ここでは主なESPを系統別に紹介する。


[第一系統]情報伝達・共有能力:

他者との間で情報を送受信したり、共有したりする能力群。コミュニケーションの根幹をなすESP。

 ・発信(全体)<マス・テレパシー>:不特定多数の人間に対して、言語情報を送信することができる。

 ・発信(対象限定)<プレシジョン・テレパシー>:特定の個人、または自身が加わっているセッションに対して、言語情報を送信する能力。日常的な会話に使用される。

 ・読心(表層限定)<リーディング・マインド>:対象が強く意識したイメージや心の中の言葉を読み取る能力。言語化される前の視覚的・直感的な情報の抽出も一部可能だが、詳細な内容は分からない。

 ・領域侵入<トレスパス>:『読心[表層限定]』の派生ESP。対象者のソーシャル器官そのものに直接リーディングを行うが、得られる情報は膨大かつ難解で、個人ユースでは役に立たない。ただ、他者の能力を自身にコピーできるという都市伝説があり、過去に問題行為も発生した。副作用として対象者に苦痛を与える。

 ・中継<サイココネクト>:セッション(ESPネットワーク)の構築とその中での言語情報のリアルタイム共有を可能とする能力。能力者だけでなく、感応者も情報共有の輪に加えることができるため、精神情報化社会の根幹を支える最重要能力とされている。なお、セッションに加えることのできる最大人数はホストとなる能力者のチャネル数に依存する。

 ・認識共有<パーセプション・ネクサス>:中継能力の上位互換ESP。セッション内で非言語情報の共有が可能になる。

*その他、第一系統には『読心(映像記憶)』『読心(意味記憶)』『読心(深層貫通)』『感情共有』『アニマルバンド』『感覚器操作』『アニマルセンス』『思考共有』『群体同調』といった能力が存在する。


[第二系統]情報操作能力:

ESPによる情報伝達に介入し、妨害、盗聴、改竄などを行う能力群。使い方によっては非常に強力だが、高位能力者はその危険性から社会的な制約を受けることも多い(ミリタリーポジションなど)。

 ・通信妨害<リンク・ジャマー>:対象となる個人やセッション内の言語情報通信を不安定にする。

 ・通信盗聴<リンク・イーブスドロッパー>:対象となる個人やセッション内のテレパシーの通信を盗聴する。

 ・暗号化通信<エンクリプション・リンク>:自分やセッション内の通信を暗号化し、他者から盗聴できなくする。

*その他、第二系統には『通信切断』『多層暗号化通信』『超暗号化通信』『通信情報改竄』『波紋偽装』『暗号解析』『上級暗号解析』『特殊通信妨害』『全域監視』『全域通信妨害』『全域封鎖』『全通信遮断』といった能力が存在する。


[第三系統]認識操作能力:

対象の五感や感情、思考、記憶、行動、さらには人格にまで干渉し、現実の認識を歪めたり、特定の感覚や感情を誘発したりする能力群。極めて強力なものが多く、扱いには高度な技術と倫理観が求められる。

<感覚干渉系>:対象の感覚情報に干渉する。

 ・痛覚干渉<ペイン・インターフェレンス>:頭痛や歯痛など、対象に一般的な痛みを発生させるなど軽度の干渉を行う。

 ・幻痛<ファントム・ペイン>:『感覚干渉<センソリー・インターフェレンス>』の派生ESP。相手に強烈な苦痛を与える。

<情動干渉系>:対象の感情に干渉する。

 ・慟哭<グリーフ・インダクション>:対象に激しい怒りや悲しみを与える。

 ・音振共感<エモーショナル・リゾナンス>:『情動干渉<エモーショナル・インターフェレンス>』の派生ESP。主に、音楽を媒介にして演奏者の感情を強制的に付与する能力と言われている。

<行動干渉系>:対象の行動に干渉する。

 ・行動抑制<アクション・インヒビション>:対象の特定の行動を一時的に封じる。プロのサイコトルーパーズ選手である天王寺海斗が使用。

*その他、第三系統には感覚干渉系の『視覚干渉(錯視、視覚遮断、視覚飽和、幻影構築、悪夢現出)』『聴覚干渉(錯聴、聴覚遮断、聴覚飽和、天上音楽)』『嗅覚干渉(錯臭、嗅覚遮断、香気創造)』『味覚干渉(錯味、味覚遮断、甘味増幅、辛味増幅、灼滅辛覇)』『痒覚干渉(幻痒)』『触覚干渉』『熱感覚干渉(煉獄熱覇、氷獄凍覇)』『平衡感覚干渉(平衡感覚遮断、眩暈呪)』『疲労感覚干渉(疲弊呪)』『感覚交換』、情動干渉系の『感情固定』『霊体接触』『自滅誘導』、思考干渉系の『思考遅延』『思考混乱』『概念歪曲』『思考停止』、記憶干渉系の『記憶消去(短期・完全)』『記憶操作』『記憶置換』『替え玉錯覚』『記憶復元』、行動干渉系の『動作遅延』『動作混乱』『行動模倣』、人格干渉系の『性格変調』『道徳崩壊』『人格投影』『人格破砕』など、多種多様な能力が存在する。


[第四系統]生体制御能力:

対象の心拍・呼吸・ホルモン分泌・免疫など、生体機能全般を制御・最適化する能力群。身体状態や回復力の操作、病的状態や苦痛の誘発も可能で、医療・戦闘など幅広い分野で応用される。


[第五系統]個体識別能力:

ESP能力者が発する波紋を感知、認識することができる能力群。ESP能力者や集団の位置特定や追跡に特化した能力で、警察や軍事などの幅広い分野で利用される。


◎アクティブESP:能力者が意識的に発信するESPのこと。テレパシーとか、テレパシーとか、テレパシーとか。


◎パッシブESP:能力者が無意識下で常時発信しているESP。機械的センサーで検出可能で、個人を識別できる「波紋」を含む。アクティブESPに応じて強弱が変化する。

 ○トリクリスタルセンサー:パッシブESPの信号波を検出するために発明されたセンサー。この発明がその後のサイ工学の飛躍的な発展に繋がる。


◎波紋:パッシブESPの信号波に含まれる、個人を識別するための固有のパターン情報 。ソーシャル器官のシグネチャーセンサによって認識されるほか、トリクリスタルセンサーでも検出される。POSの個人認証 やゲームのアカウント自動生成 などに広く利用されている。

 ○ウェーブレット変換:複雑な波形や信号を、その構成要素である単純な波の集まりに分解して解析する数学的手法。フーリエ変換による解析では扱えない時間領域の情報も残すことができる。作中では、リン先生が和奏のパッシブESPデータから個人識別情報「波紋」を抽出する際に用いた。


◎DSMP-Ⅱ(ディー・エス・エム・ピー・ツー):超能力の診断と統計マニュアル[第二版]。ESP能力リストの典拠となる文献。


◎ミリタリーポジション:情報操作系統のレベル四以上のESP能力者を指す俗称。その能力の高さと軍事的有用性から、義務教育修了時から国の管理下に置かれる。


◎ESP接続補助技術:

 ・鳳式:鳳鳴学園独自のESP接続補助技術。対象のイメージを詰め込んだバルーンに額から銀の糸を伸ばして繋げるように想像して接続する。

 ・バルーンドキュン:西園寺幹彦オリジナルのESP接続補助技術。イメージバルーンを銃口に見立てた指で撃ち抜くことで接続を試る。

 ・イメージバルーン:ESP接続補助技術「鳳式」で使われる、接続対象のイメージを詰める想像上のバルーン。対象への印象や感情を詰め込む。


◎ESP能力関連のパラメータ:

 ・ESPスコア:ESP信号の強さを示す値。一スコアは感応下限値以上のテレパシーを十m先に送信できる強度。

 ・ノイズ:ESPで発信する情報に混じる判読不能な信号の強さ。

 ・EN比:ESPスコアに対するノイズの割合。この数値が高いほど高品質なテレパシーとされる。

 ・ESPランク:EN比によってS~Eに区分され、サイオポリス外への外出可能期間の他、様々な制限項目に影響する。

 ・チャネル:同時にESP回線を確立できる対象者の最大人数。

 ・ESPマップ:ソーシャル器官のESP細胞の活性分布を示す図。通常は非表示だが、教師などは閲覧可能。


◎ESP能力測定関連:

 ○シールド・ルーム:ESP能力測定や特定の医療処置を行う際に使用される特殊な部屋。外部からのESP信号やノイズを完全に遮断する。

 ○アイソレーションユニット:ESP能力測定時に使用する装置。外界からのESPを遮断する。

 ○ガンツフェルト・ゴーグル:ESP能力測定時に使用する装置。視覚と聴覚を飽和状態にする。


◎スマートフォン:いわゆるスマホ。アイウェアとリンクしている。

 ○テストウォッチ:カンニング防止アプリ。登録ユーザーのパッシブESPの変動を監視し、能力使用を探知する。

 ○瞑想アプリ:スマホアプリの一つ。登録ユーザーのパッシブESPの変動を監視し、瞑想中の訓練生の精神状態をモニタする。


◎アイウェア:スマートコンタクトレンズやグラスタイプなど、視覚情報を拡張するウェアラブルデバイス。訓練生には府から標準モデルが貸与される。特に、ARの表示にはレベル設定があり、表示される情報量を調整できる 。


 ○AR技術:拡張現実(Augmented Reality)の略称。現実世界の風景にデジタル情報を重ねて表示し、視覚情報を拡張する技術。サイオポリスでは広く普及しており、街の風景や看板、パーティーの演出に至るまで、様々な情報が視覚的に付加される。

 ・オルト表示:AR表示が重ねられる前の、現実世界に物理的に存在する掲示物などの元々の表示のこと 。オルトサイン、オルト広告など。


 ○VR技術:仮想現実(Virtual Reality)の略称。 コンピュータによって作られた三次元空間や環境を、専用のゴーグルなどを通じて体験し、あたかも現実であるかのように感じさせる技術。「トルーパーズ・アイⅣ」のようなゲームなどによく使われている。


◎POS (サイキック・オペレーティング・システム):米サイバーナイト社が開発したオペレーティングシステム。スマホなどの情報機器をテレパシーによるコマンドで起動や操作が可能。レベル一~四の操作体系がある。


◎レーヴァティン:次世代の超高性能爆薬である小型電子励起爆弾の通称。北部九州先端医療共同研究センター爆破テロ事件に使用された。


◎リードカーボネイト:ESP波を遮断する性質を持つ強靭な素材。北部九州先端医療共同研究センターの特定区画の壁材に使用されていた。


◎中二病:思春期(特に中学校二年生頃)の少年少女にありがちな、背伸びした言動や、自分は特別な存在であるかのような自己設定、あるいはダークヒーロー的なものへの憧れなどを揶揄した俗語。


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これからも、「パルナッソスの戦乙女」をよろしくお願いします!

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