第11話 三度目の正直
第11話 三度目の正直
(The Third Fall, the First Truth)
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密林のさらに奥へと進むほど木々は高く、光はだんだん薄く、空気が重くなっていくのが分かる。
やがて前方の森の奥の方で、
『 何かが光っている 』のが、チラッと見えた。
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ノエマがふと立ち止まって言う。
「……あそこでなにかひかってる!」
二人と一匹の視界には、深い森の奥で不自然にぽつんと丸く浮かぶ『 白い発光体 』が見えた。
するとフィリムが『 誰がそこにいるのか 』が分かっているかのように、茂みのその先をじっと見つめていた。
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荒れ放題のジャングルの中をかき分け、あそこで『 光っている物の正体 』は一体なんなのか?
それを確かめるために、二人と一匹が鬱蒼とした森を歩き続けると………
………………
だんだんと目的の光が
目と鼻の先まで近付いて来る。
それはーー
まるで『 眼球 』のようで。白銀色の光を放ちながら空中に浮かんでいた『 小さくて丸い球体 』だった。
「……目だ。」
アルテナはそう口にしてから改めて、自分のその発言のバカさ加減に閉口した。
そして、『 それは 』大樹の幹に隠され、植物の
左右に大きく空いた空洞。その穴に『 白く光る眼球 』のようなものが、こっちを向いて浮かんでいる。
少女は言葉を失い、少年はゴクッと息を呑んだ。
「……なにかの、ほね?」
「うん、骨……だよな?」
「つーかまた……でっけーな。」
ぺしぺしとその巨大な骨に触れ、その硬さにまた驚く二人。
その『 なにかの骨 』の空洞の中で、脈を打つように明滅しながら浮んでいる『 その球体 』は、まるで『 誰かを認識している 』ようだった。
異様な光景に少女と少年が圧倒されていると、フィリムのツノが反応して『 光る球体 』が光を返して来た。
「もしかして……フィリム……
おはなし、してるの?」
ノエマが翡翠色の瞳をまん丸くする。
アルテナは胸のざわつきがより一層強まっているのを感じていた。
そしてノエマは、まるでだれかに導かれているかのようなとても『 不思議な感覚 』を覚えた。そんな時だったーーー
---『次なる、真の
「……うわあっ!!」
耳ではなく直接、頭のなかに響く声。
ノエマがアルテナの方へと振り向く。
「アルテナ??どうしたの?」
「い、いや……なんかまた、
頭んなかでへんな声がしたような……」
アルテナはブンブンと頭を振った。左胸の装置が早鐘のように脈打っている。
---『『 鍵 』を示せ。』---
「カギ……?」
少年は思わずそう口にしていた。
「あれ?……そういえば……」
「フィリムがいない?………」
少女がそう声を発した時だったーー
「ッッ……フィイイ"イイ"……!」
二人がいた場所から少し離れた密林の中で、フィリムが警戒するように唸りツノを立てていた。
ーーーアルテナ!!うしろーーっ!!!」
ーー「え?」
ノエマの叫びが耳に届いた瞬間ーーー
アルテナの影が一気に膨らんで。
全員が立っていた場所その一帯の地面がーー
ズドォォォォォン!!!!!!
とてつもない音を立てて崩れ落ちた。
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二人と一匹は、いきなり頭上に降って来た『 巨大な倒木 』と崩落した地面もろとも、暗闇が広がる地下へと自由落下していたーー
ーーーとっさに少女は少年へと手を伸ばす。
「アルテナ!!つかん……でっ……!!」
「……ッんがががががっ」
『 ……上手くっ息がっ、……できねぇ! 』
「ッッ……ノっ……エマ!!」
二人が自由落下していく中、フィリムだけは二人の間を螺旋を描きながら旋回するように飛んで。ぱちぱちと雷光のような光を散らした。
バチィィィィッ!!
まばゆい光が縦穴いっぱいに広がり、全員の落下速度を一瞬だけ緩める。
……ドスンッ!!!!!
土と木の根で出来た柔らかな地面へと叩きつけられる二人。
「……だっはあ!!…痛っ…てぇ〜……!」
「……そうだ。ノエマ!?フィリム!!大丈夫か!?」
「だ、だいじょーぶ……!フィリムのおかげ。」
ノエマは、サムズアップして無事であることをアルテナに伝える。
一方、その二人の救世主であるフィリムはーー
「フィー!」
と、ツノの光を左右に振って
自らの無事を知らせる。
「はは。どうやら、みんな無事……みたいだな。しを覚悟したわ。今度こそ、まじで……」
「つーか今日一日でどんだけ落ちんだよ……おれは……』
少年がぶつぶつ愚痴っていると、フィリムのツノが照らし出した明かりの先にーー
「アルテナ……みて!」
そう少女にうながされた少年は、少女のか細い指先を目で追った。
そして二人が見たのは、
巨大な『 鉄の扉 』だった。
二人は身体を起し、土埃をほろって扉の前へと近付くと、高さはゆうに2m以上はあるだろうか。
錆びた分厚い『 鉄の扉 』には、左右に『 龍の紋章 』が刻まれており、中心には小さな『 くぼみ 』があった。
ノエマが呟く。
「これってまた……
わたしの、ペンダントと……おなじ……?」
その時ーー
アルテナの頭に稲妻が走った。
『 あの声だ。あの声が言っていた、言葉だ。』
ーーー『『 鍵 』を示せ。』ーーー
胸の奥でずっと疼いている『 得体の知れないざわめき 』。アルテナはまるでその扉が『 ずっと誰かを待っていた 』ような気がした。
ノエマがそっと錆びた『 鉄の扉 』に
手を預け、アルテナに聞いた。
「……どうするの?」
アルテナは迷わず頷いた。
「……行くよ。この先にきっと……
手がかりになるもんがあるハズなんだ!」
そして、二人と一匹は先へと進むために扉に手を伸ばした途端ーー
ノエマのペンダントが『 その扉 』と共鳴するかのように『 紅い光 』の輝きを放っていた。
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