第2話 始まり

正直彼女との付き合い初めは、どちらかが告白した!っと言うよりは流れだった。 本当に自然な流れだったよ、彼女が僕の手を取り、お互いの瞳に映る自分の姿を見るんだ。 そして相手の瞳に変わらない何かを見る。 見ると言うよりは見た気になるの方が僕の場合は正しいと言えるね。 永遠にこの幸せが続くって付き合い初めはみんな思う。 でも心のどこかではわかってた、彼女は自分の国に帰る、それはどうしようもないって。 でもそれでも良かった。彼女の笑顔を僕が作ったと考えると凄く心が温かい気持ちになれたんだ。


お世辞にも彼女は裕福な国から来たとは言えなかったし、僕自身高校生で色んな所に連れて行ったり、奢ったりは出来なかった。 もちろん全く0だった訳では無いけど、少ない方だったと思う。


学校帰りに僕は彼女のアパートに行き、お互い今日の出来事を話したり、彼女の話を沢山聞いたりした。 彼女の国や文化のこと、日本のこのアニメが好きだとかね。 意外かもしれないが僕はアニメを滅多に見ない、でも彼女の話にはついて行きたいと思った、だから何したと思う? そう!一気見だ!正直興味のないアニメを見続けるのは苦痛だったが、彼女との会話にはその苦痛を上回る幸せがあった。


僕が彼女との一緒に過ごした時間で一番好きだったのは夜の散歩だ。

夏の暑い中二人で夜中にアパートを出て3時間4時間も歩いたよ。それも1回だけじゃなくて何回もね。 今思えば狂気の沙汰でしかない、引きこもりにしてはよく頑張ったぞ自分!


二人で他愛もない話をして、本当に幸せな時間だった。 彼女が住んでた所から1~2時間ほど歩くと家も少なくなってかなり夜空が綺麗に見えた。 だから僕たちは公園に行って、寝っ転がって星を眺めた。 彼女曰く日本と彼女の国では同じ日でも見える星の位置が違うらしい。


星を眺めてる時の彼女の顔はあまりにも美しかった、彼女の顔に星が映って凄く輝いて見えたんだ。 あの時の僕から見た彼女の顔を君たちにも見て欲しいくらいだよ。 ちょっと気になるでしょ? でも残念それは僕の記憶の中だけに留めて置くよ。


いつまで元カノとの惚気話をダラダラ続けるんだこいつって思ったよね? 大丈夫、安心してもうすぐこいつは地獄を見るから。 空に浮かぶ星々がブラックホールに飲み込まれるみたいに闇の中に埋もれてくから。

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