第8話
「ただまー」
「おじゃまします」
短い廊下を抜け、キッチンと居間部分が繫がっているやや広めな部屋に入る。
……と、
「相変わらずのごちゃつきようね」
「あ、ははは……そろそろ片付けないとなー、とは思ってたんだよ……」
「思うだけで行動に移してない時点で、あんたは自堕落な人間よ……」
はあ……と重々しく溜息をつく
シンクには洗わないまま放置された食器がごちゃごちゃしているし、室内の床にはコンビニの袋や空き缶、空のペットボトルが散らかっている。
洗面所を覗けば山積みになった(きっと洗っていないであろう)衣類。風呂の湯船は辛うじて清潔な状態だが、排水溝には溜まった汚れや髪の毛(きちゃない)。
大学の春休み期間であった
——少しでも目を離せばすぐに生活が乱れてしまう彼女には、やはりわたしがそばにいてあげないとけない。
——彼女が自堕落な生活を手放すには、やはりわたしという存在が必要だ。
自分が必要とされているという感覚に、素直には認めたくはないけれど、どこか嬉しさや喜びを感じつつ——けれどけれど、そんな自分本位な感情は決して
「二時間。わたしも手伝うから、二時間で全部片付けるよ」
「えー……」
明らかにめんどくさそーな顔をする安栖。
そんな
「これ以上破綻した生活は見過ごせない。いいからわたしのいうこと聞きなさい」
「ふぇーい……」
まずは洗濯から、と指示する
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自堕落を手放し自立せよ! 戸森可依 @todokakushi
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