深夜テンションで紡いだエッセーを翌朝見て、鳥肌を立たせるための記録

りんごが好きです(爆音)

第1話 深夜テンションで書いてみよう

 純文学のような何かを書きたい―――


 そう思った時、わたしは大抵庭にあるバイクへ跨る。


 跨る、と言ってもただ跨るだけである。普通の人間というものは、バイクに跨ったならエンジンを掛け、シフトを一速へ入れ、発進したうえで『純文学のような何か』を探しに夜道を駆け抜けるものである。


 でもわたしは跨るだけである。何故なら、純文学のような何かを書きたいという衝動を抑え切れないからだ。バイクになど乗っている時間は無い、との思いが自身のなかに渦巻く。そこには、気持ちの悪い矛盾が存在している。


 書くためには、知識がいる。なので、書く以外のことをしなければならない。経験を得るためだ。書きたいけれども、書くためには書いてはならないのである。これは、言葉にすると非常に面白い問題だ。


 ―――わたしは書くのが好きだが、書くのがとんでもなく面白くないときもある。それは、自分の書くことのできるジャンルがラブコメしかないと思い知った時であろうと思う。


 たった23年しか生きたことのないこの身体では、面白いものを書くことなどできないのではないだろうか、と度々思う。でも書く。チョコ食いながら、書くのである。


 チョコと言えば、書くためには糖分が必要だ。遠い異国の地で育ったカカオ加工品で、脳にしばしの安らぎをプレゼント。書きたいがゆえに、糖分を摂るのであるが、この例は先ほどのバイクの例と似ているようで全然似ていない。


 双方ともに『執筆したい』という欲求を補助するために行う『バイクに跨る』『チョコを食べる』という行為である。わたしはそれに、言わば『逃げ込む』わけである。しかし、前者は実行が億劫なのに対して、後者は非常にスムーズに行える。何故だろう。


 理由は、わたしがチョコ好きだからである。チョコは口に放り込むだけだが、バイクは運転が面倒くさい。


 つらつらと難しそうなことを並べてみても、自分のなかに答えは既に存在している。また知識が増えたので、純文学のようなものを書けるにんげんに近づいた。わぁい。


 こんな意味不明なエッセイを書いている間に、時間は10分過ぎたし、字数は1000字に迫っている。


 わたしのようなアホなチョコ好きが創る暇つぶしのエッセイは、書いていて面白い。でも生産性が無い。ただ貴重な時間を食い潰しているだけである。チョコのように。


 それに対して、わたし以外のひとが書くエッセイは非常に面白い。読んでいて惹きつけられるのである。今からでも新たなエッセイを探し出して、読み始めたいものだ。


 しかしだ。


 わたしはそろそろ厠へ行き、その後は眠らなければならない。人間としての営みには、誤魔化しがきかないからだ。


 そんな理由をつけて、わたしは執筆からまた逃げる。今度の逃げ口は、バイクやチョコではなく布団である。おやちゅみ。

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