貞操逆転世界で先に転生した奴からハーレムを奪ってしまう～普通に生きたいだけなのに美少女たちが童貞を狙ってくる～

「先日、東京都新宿区で、三十代男性が二十代の女に襲われました……」

　TVのニュースでは、連日、男性が女性に襲われるニュースが報道されている。

　学校でも街でも、男性がいなくて、女性しかいない。

　俺がいわゆる貞操逆転世界に転生したとわかるのに、時間はかからなかった。

　俺こと飯田海斗は、男性が極端に少ない世界――貞操逆転世界に転生した。

　男女比は１：１００らしい。

「飯田様、お迎えに上がりました」

　朝、高校に登校する時、男性護衛官の田中絵美さんが迎えにきた。

　男性護衛官は、その名も通り、男性を護衛するのが仕事の公務員。

　この世界では男性は希少なので保護する必要があるから、男性護衛官がいないと外出できなかった。

「おはよう。絵美さん」

「おはようございます……飯田様、男性護衛官として注意しますが、女性にむやみに挨拶したり、下の名前で呼んではいけません。女性に狙われてしまいます」

「あ、すみません。気をつけます」

　絵美さんは長い黒髪に眼鏡。

　年齢は二十代半ばだと思う。

　パンツスーツをいつも着ている。

　いかにも公務員といった感じの固い印象の女性だ。

　毎日のように顔を合わせる人だから、仲良くなるために下の名前で呼び合おうとしたけど、やはり拒否されている。

　絵美さんの言う通り、この世界で女性を下の名前で呼ぶだけで大変なことになる。

　女性は常に男性に飢えているから、少しでも男性から親しみのあることをされると、性欲が暴走してしまう人もいるらしい。

「無自覚に親しみを振りまく癖は、直さないと危険です。これから高校生になるのですからなおさら……」

「はい。それはわかってます」

「男性護衛官として、いつも飯田様にはひやひやしていますので」

　今日、俺は新しい高校へ転入する。

　基本、この世界の学校は男女別に分かれていて、男性は男性だけの環境で学ぶ。

　だが、最近、試験的に共学の高校ができた。

　そこに通う女の子たちは、特別な訓練を受けていて、男性への性欲を抑えられる。

　女性の中に男性を入れても大丈夫か実験をするそうで、俺はその被験者に選ばれたわけだ。

　男性護衛官もいるとはいえ、やはり多少の危険は伴うから、授業料はタダだし、報酬として毎月百万円をもらえる。

「はあ。いくら性欲抑制訓練を受けた女子とはいえ、女子の性欲は強力なものです。とにかく気をつけてください」

「わかりました」

　ちなみにこの世界の男性たちは、かなり草食系だ。

　自分から女性に近づく男性はいない。

　ていうか、普通の男性は女性のことを「襲ってくる存在」だと思っていて、かなり怖がっている。

　俺みたいに、女性を怖がらない男性はかなり珍しい。

　俺が今回の共学実験の被験者に選ばれた理由は、俺が女性を恐れないからだ。

　そんな事情もあって、ハーレムを作る男性はいない。

　そんなことをするヤツは、この世界絶対にいない。

　もしそんなことをする男性がいるとすれば、それは俺と同じように別の世界から来たヤツ、つまり転生者だけだ。

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【あとがき】

　この作品は連載候補の短編です。

　「面白そう！」「続きが読みたい！」

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