メタ推理探偵と500字の制約
ツキシロ
メタ推理探偵と500字の制約
「旅館に行くぞ。事件が起きる!」
「どういうことですか!」
「本作は500字と作者が決めたからだ。君が助手役か」
旅館に着く。
「死体を探せ!」
「ええ!?」
「尺がない」
死体が見つかる。
「女将、従業員とその妻の3人が犯人候補だ」
「そんな急な」
警部が言う。
「女将さん、あなた怪しいですね」
探偵が言う。
「じゃあ違うな」
「ええ……?」
「ポンコツ警部の推理は外れるものだ」
「はあ」
「夫の従業員は我々の案内役だった」
「そんなシーンありました?」
「端折ったんだよ。ともかく……」
「作劇構造上、犯人は奥さん、あなただ!」
探偵はまっすぐに指さした。
「かっこつけすぎです」
「読者サービスだ」
従業員の妻が反論する。
「私にはアリバイがありますよ」
「黙れ!文字数がかさむ」
「あなた、小説家になってはいかが?」
「ただの嫌味じゃないですか!」
「放っておけ助手。第一あなたは、血の付いた包丁を握っている」
「なんでそれ誰も言わないんですか!」
「叙述トリックの真似事だ。作者は使いこなせていないがね」
「はあ……」
妻が、涙を流す。
「あの人のせいで……!」
警官を連れてきて、探偵が言う。
「陳腐な身の上話はやめろ。もうエピローグを書く字数もないんだ」
メタ推理探偵と500字の制約 ツキシロ @tsuki902
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