追放貴族と奴隷メイドと奴隷の国経営

アノ965(アノマロカリス好きのくろこ)

エピローグ

「貴様は、出ていけ。ハイド」

「えっ…」

朝、呼び出され、父から告げられた第一声は、

絶望の一言だった。

「出ていけと言っているだろう?」

「何故ですか!父上!私が一体何を…」

「何故?はっ!」

父上は、鼻で笑った。

「兄は、武の才に、それ以外の兄弟、姉妹達はそれぞれの才能に恵まれている」

「…!」

「貴様には、何の才能がある?」

それもそうだ。自分には何の才能もない。だから

その分他のことでカバーしているつもりだった。

「だが、この私も鬼ではない」

「では…!」

「何を勘違いをしている。貴様を追い出すことは変わらない。その代わりにこの国から出ていくことを条件に、金と皇帝からの土地をやろう」

「…」

「話は、終いだ。3日後に出ていく用意をしておけ」

「………はい」

言いたいことは、あった。でも、意味がないと

分かった、分かってしまった。ここでは、出来損ないだと、私の…俺の居場所などここにはないということを。

「失礼いたします」

          *

「残念だったなあ!出来損ない!」

「…」

「貴方が居なくなるだなんて、せいせいする」

「…」

カイト兄様とフェリシア姉様が、そう言葉を投げかけてくる。どうせ、ほかの兄弟もそうだろう。

「なんだよ!つまんねえなあ!」

その、言葉を聞きながら自身の部屋に戻った。

          *

「ふう、こんなもんでいいか」

俺は、最低限の荷物をまとめた。

「どうせ、帰ってくることはないだろ」

そう、思って街に出かけた。

          *

「ここを歩くのも最後か」

少しぶらぶら街を歩いていた。門番達にも止められなかった。

「もう、用なしか」

ふと、路地裏に目が行った。そして、気づけば奴隷商の店に足を運んでいた。奴隷の売買は、合法だがあまりいい目で見られるものではない。

「いらっしゃ…おや、これはこれは、領主様のご子息ではございませんか。いかがなさいましたか?」

ここの、店主であろう小太りの男が話しかけてくる。

「いや、今はだ。これから、辺境の地に追放される」

「そうですか……ですが、うちの奴隷を買って頂けるのならどのような方でも歓迎致しますよ」

「そうか」

そうして、店主の後ろについていく。

          *

まあ、案の定というか想定通りというか……

「生きることに飢えた獣だな」

「まあ、こんな物ですよ。奴隷や奴隷商というのは」

「そうか」

この状況で何も感じないのも。自分がもう狂っているのだと自覚する。

以前だったら、可哀想だの、救える方法はないのかだの……

「考えていたのだろうな」

「はて?」

「いや、何でもない、こちらの話だ」

「そうですか……では、どの奴隷にいたしますか?」

「そう言われると……」

辺りの奴隷達を見渡す。縋るような目で見てくる者、希望に目を輝かせる者。でも、不思議と以前のような心苦しさが微塵もなかった。

「…………?」

見渡していると、ふと、ある檻の目が行った。

「店主、この奴隷は?」

「あぁ、こいつは売れ残りですよ。見た目はいいんですがね」

「…………」

俺の眼に止まったのは、黒髪金眼の猫の獣人だった、その眼は、まるで全てに絶望し、拒絶するような眼。かつては、希望に満ちた者が、突き落とされた眼。自分がよく知る自分と同じ眼だ。

「お前もか……」

「いかがなさいましたか?」 

店主が、不安そうに俺に話しかけてきた。

「こいつを買う」

「そ、そうですか……では、奴隷紋を……」

「一番、拘束力の低いもので頼む。安く済ませたいのでな」

「承知いたしました」

そうして、店主と奴隷は、奥へ下がった。

他の奴隷を観ながら、労働力の確保も奴隷出するかと考えながら、適当に追加で家族でまとめて売られている奴隷を追加で買った。

(何故か、泣きながら感謝された)

          *

「お買い上げありがとうございました」

店主がホクホク顔で俺を見送ってきた。

「こいつら、城に邸宅に連れて行くわけにも行かないか」

ぶらぶら歩いていると、奴隷を連れているところを見られて少し居心地が悪かったが、もう踏むことはないであろう土地だ。どうでも良い。

まあ、明日には出て行けと言われるだろうが……

          *

「うわっ、どんだけだよ」

邸宅の前に着くと、俺の荷物が放り出されていた

「俺も嫌われたもんだな」

あのクソ親父、わざと嘘の日付教えたな。

「ちっ」

もう、荷物も自分で載せろってか。

「お、お手伝いしてもよろしいですか?」

奴隷の父親が、話しかけてきた。

「……ん?あぁ、別にいいよ。これくらいなら

自分で適当に運べる」

「かしこまりました」

「そんな事してるくらいなら、お前の家族と話してろ、子供達も慣れてないだろうし、お前達が必要になったら呼ぶ」

「ありがとうございます!」

そんな、泣きながら言われてもな〜。あくまで、あの猫獣人のおまけの労働力なんだよな。

「まあ、荷物は少ないし」

荷物を荷車に投げ込んで、この地に図らずも碌な挨拶もせず出ていくことになった。


新作描きました。

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