エモくて新しい 昭和短歌10作品

ソコニ

第1話 エモくて新しい

マック無い 喫茶の氷 溶けてゆく 待ち合わせ場所 伝言板の前


推し活は 写真と手紙 文通で 返信待ちし 日々の尊さ


家族皆 茶の間で並ぶ 一本の ダイヤル回す 黒電話かな


ギガなんて 言葉は無いが カセットの A面B面 繰り返し聴く


地下鉄で 紙の地図広げ 現在地 わからぬままの ドキドキが好き


徹夜明け 映るブラウン管 砂嵐 それもエモい とシャッターを切る


VHS 巻き戻し機を 借りてまで 金曜ロードショー 翌日語り合う


定休日 今日の閉店 知らぬまま ただひたすらに シャッターを見つめ


ポケベルの 数字で打った 「アイシテル」 暗号解読 できたなら勝ち


「写ルンです」 撮り終わるまで 見られない 現像を待つ 十日間の夏

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