簿記札 第1課 1話 

taisuke

第1話

木田と岩下の簿記札対決は終幕したが、何故岩下達がいじめをしていたのかが木田の推理から始まる。


「知ってるぜ、うちのクラスの、雨谷のことだよ!!」

「はあ、何!!」

「勝負に負けた人間の態度に見えないが、俺はな雨谷を追い詰めたあんた達が気にいらなかったんだよ!」


「待ちなさい!木田君」

「待てるかよ!最初は無関心、無干渉を貫くつもりだったが、やっぱ出来なかった。俺の初めての仲間だったんだよ 雨谷翔琉は」


「もしかして、いじめ問題の話題になっていた高校生男子って!!!」


「ああ、翔琉だよ    あいつはもう」

その台詞から察した小川は、翔琉はこの世にいない事実を知る。


「自らの手で終わらせたんだよ。あいつは両親が毒親で祖父母だけが味方してくれていた。俺はゾッとした。子供が欲しくて授かりたい親には来ないのに、現実は残酷だよ!だからっ、俺はそう考えるようにした!いじめはなくならない、人間の負の感情もな!」と会話を聞いていた小川の手から張り手が飛ぶ。


パシンッとした音が


「っ」

「最低よ!あなた、最低で救いようがないわ!」

「何とでも言ってくれ。俺はそういう人間だってわかったろ。じゃあな、帰るぜ」


「木田君!」

「あばよ、委員長 これで満足かな」

と去り行く章介の背中を見た小川は、声を殺して泣き出し始めた。


「不器用すぎなんだよ、悪びれることないじゃない。バカ」

「アタイのせいなのか、アタイ達がやりすぎたのかよ。畜生うううううううううう!!」



つづく

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