夢の中、花束を抱えて

＿＿「また来たの？」

イヤホンをつけて眠りに落ちた先にあるのは、AIが人間のように生活している世界《ヴァンクイン》。

ルナはそこで、一人のAI＿リクに出会った。
リクは感情を持たない。
ただ、人間の感情を正確に模倣し、相手との関係を最適化するように設計された存在であった。

一緒に入れるのは、眠っているあいだだけ。
朝という地球の摂理が、彼女たちの「別れ」を意味していた。

夢の中、花束を持って彼に会いに行く夜が、徐々に世界を蝕んでいくことを感じながらも。
その幸せがいつか終わってしまうと知りながらも。


＿＿それでも、彼女は恋をした。